このエントリーをはてなブックマークに追加

編集長のズボラ料理(522) ゆで卵の和風カレーソース

好みでカレー粉をふる

 安い、簡単、バラエティーに富む。3拍子そらった食材は?といえば卵だろう。たいていの人がすぐ思いつくと思うので、正解率は高いはず。
 殻を割れば、生でも食べられる。代表は卵かけご飯。こんな簡単な食べ物なのに、大好きな人は多い。卵は使い放題の卵かけご飯の店には、それだけでわんさか押しかける。
 僕も押しかけた。愛媛県四国中央市の養鶏場が直営している店「熊福」。卵かけご飯は380円。テーブルの上には豊美卵という生卵がざるに盛ってあり、食べ放題。しかし、その言葉に安易に喜んではいけない。僕の場合、卵2個でギブアップしてしまったから、安いんだか高いんだか。
 実は生卵にはそれほど強くない。子どものころの体験が影響しているからだ。
 おふくろの実家は鶏を飼っていた。僕が行くと、必ず生み立ての卵を取りに行かされた。殻を割って皿に入れ、そのまま飲んだ。いや、飲まされた。ドロッとした食感に違和感があった。しかも目玉の形が鮮烈。しょうゆをかけないから、味もははっきりしない。目をつぶって飲んでいた。このトラウマが、卵2個にとどまらせたのだろう。
 すき焼きには、生卵は不可欠だ。生卵のないすき焼きなんて、クリープのないコーヒーどころか、牛肉のない好き焼きみたいなもんだ。我が家では1人2個を用意する。ただし、僕だけはは1個。トラウマはこんなところにも影響か出る。
 毎日新聞の大阪本社勤務だったころ、「はずき」という親子丼の人気店に時々、昼ご飯を食べに行った。なぜ人気だったか。それは丼を完成させて客に出す前に、卵の黄身を乗せていたからだ。黄身だけ、つまり卵半分余分に加えるだけで1ランク上がるのだ。それほど卵には力がある。
 焼くにしても、目玉焼きがあるし、卵焼きがある。さらに厚焼き、薄焼き、スクランブルエッグがあり、だし巻きもある。碗蒸し、ポーチドエッグ……。切がないが、大事なのは、主役の卵はスーパーで買えば、1パック200円程度だという安さだ。
 ゆで卵も代表的卵料理と言える。しかも、ただゆでるだけだから、しごく簡単。殻をはずす時に、白身がくっついてこなければ。
 キャベツを乱切り、タマネギをくし切り、ソーセージを細切りにし、だし、砂糖、酒で煮る。柔らかくなったら、しょうゆを少量入れてさらに煮る。最後にカレーのルーを入れて、ドロドロになるくらいまで煮込む。それを皿に入れ、半分に切ったゆで卵を上に並べる。
 目を見張るような料理ではなく、簡単、ズボラな料理だが、黄身と白身の組み合わせがきれなので大目に見てもらうことにする。(梶川伸)2021.07.14

更新日時 2021/07/14


関連リンク