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64歳で保育士に 69歳の石浜さん今、現役

自宅で預かっている子に絵本を読む石浜さん。「わんぱくな子もおとなしい子も、同じように愛しい」

 豊中市庄内幸町に住む石浜繁子(69)さんは2005年4月、63歳の時にパート従業員として勤めていた保育園で保育士試験のポスターを見つけた。それまで保育士になるには基本的に短大卒以上の学歴が必要だったが、中学卒業でも5年以上の実務経験があれは国家試験を受けられる内容だった。「やってみようかな」と石浜さんは思った。「子どもが好きで7年間働いてきたけれど、無資格な自分を申し訳なく思う気持ちがどこかにあったから」
 2カ月後、初めての国家試験に挑んだが、手がふるえて鉛筆をにぎるのも大変だった。「マークシートの記入方法がわからなかったのよ」と石浜さんは苦笑する。それでも3科目で合格点をもらえた。保育士試験の受験科目は実習を含めて11科目。合格した科目は3年間有効のため、残り8科目を2年でパスする必要があった。石浜さんは「次の1年で合格する」と心に決めた。10カ月の受験生活が始まった。
 まず家事はすべて夫に任せた。日中は図書館などにこもり、休憩中の高校生らに英語を教えてもらうこともあった。移動中はテープに吹き込んだ参考書を聞き、夜は夫が焼いてくれたスルメをかじりながら眠気と戦った。「年をとると覚えが悪くて」というが、それでも勉強を続けているうちに「勉強のコツがわかってきた」と話す。
 2回目の国家試験は運悪く40度の熱があったが、試験中「脳よ、がんばって」と頭をポンポン叩きながら挑んだ。結果は合格。2007年2月、64歳で保育士となった。67歳になるまで豊中市内の保育園で働き、現在は自宅保育をしている。石浜さんは夫が定年した55歳になるまで専業主婦だった。「ずっとキャリアウーマンに憧れていたものよ。だからこそ、働くお母さんを応援したいの」  【早川方子】

更新日時 2012/01/05


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