寺の花ものがたり
04年の新年は長谷寺で迎えた。山門から399段の廻廊(かいろう)が続く。観音万燈会(かんのんまんとうえ)の明かりを頼りに登っていく。本堂で午前0時に、十一面観...
江戸時代は戒律を学ぶ道場で、勧学院と呼ばれた。修行僧が起居した比丘寮(びくりょう)の屋根を超えて、1本の山茶花(さざんか)が白い単弁の花をふんだんにつける。樹...
「9月になると、葉の中に、1つ2つ花を見つけるようになる。葉が落ちてしまうと、次第に花が多くなり、11月に満開になる。12月に入って、寒さで花の量は減るが、春ま...
山に囲まれた盆地の田園地帯に、ポツンと小さな寺があった。山茶花(さざんか)はかまぼこのような形で、8メートル×9メートル、高さ4メートル。これが1本の木だから...
客殿(書院)は、ヨシぶきの屋根だった。土蔵もそうだ。ヨシは琵琶湖の水辺を包む。湖国の寺らしい。 渋いヨシ屋根を、血染め紅葉(もみじ)が彩る。楓(かえで)は...
川の水音を耳にして、急勾配の山道を登る。約100メートルごとに置かれた江戸時代の丁石を数え、十七丁石で質素な尼寺に着く。 息を整えて見上ると、お葉つき銀杏...
道路を折れると長屋門があり、本堂への入り口の唐門までの間に、石蕗(つわぶき)が咲いている。葉は蕗のようだが、菊の仲間である。数は多くなく、黄色の花が、柔らかい...
牡丹(ぼたん)で知られる寺はこの時期、小菊で飾られる。11月3日に、菊会式(きくえしき)と呼ばれる法要があり、小菊まつりを繰り広げるからだ。 「牡丹の春は...
京都・高雄(たかお)を抜け、周山街道を清滝川沿いにさかのぼる。北山杉の里に入り、樹齢500年の台杉に見とれる。 そんな道筋を楽しんで、参道へと曲がると、赤...
1992年11月のことだった。倉本堯慧住職の妻京子さんは、毎日新聞のコラム「野の花に親しむ」を見て、目を見張った。オビトケコンギク(帯解け紺菊)が取り上げられ...