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編集長のズボラ料理(550) エリンギのウニしょうゆ

これはウニしょうゆで和えた

 魚介類で、値段が高いものは? 名をあげればいくつもあるが、代表格はウニではなか。
 カニも確かに高い。後輩の勧めで福井県敦賀市の料理宿に泊まり、仲間でカニをたらふく食べたことがある。酒代も含めて2万円近くだったから、高いことは高い。
 ただし、カニは2杯分。刺し身、焼きが二、ゆでガニ、カニ鍋、天ぷら、最後はカニ雑炊。みそがたくさん詰まった甲羅にカニの身を入れ、熱かんを注いも食べた。
 それだけの量なら、納得できる。しかも、カニは身を外すが大変なので、かかった値段と、食べるのにかかった時間を考えれば、安いものかもしれない。
 ウナギも高い。しかし、義務的に食べねばならないのは土用の丑の日だけ。ほかの日に食べたくなった場合は、電車で2駅の近鉄百貨店奈良店に行けば、切り身にはなっているが、大きなかば焼きを1100円ほどで売っているので、恐れることはない。
 イクラも高い。しかし、粒粒の数で値段を割り、1個あたりの値段にすれば大したことはない。それに、海鮮丼やちらしずしを店で頼めば、数粒は乗っているから、少々なら口に入る。
 アワビは高い。こじゃれたレストランやホテルんでは、気軽に注文するものではない。ただし、大阪駅に近い居酒屋さん「うしお」に行けば、おどりでも380円くらいで食べられるから、何ちゅうことはない。ただし、大きさは気にしてはならない。
 となると、ウニが魚介類のてっぺんに立つのではないか。ウニを5腹も食べる機会があれば、そんな幸せはない。
 東日本大震災から3年後、被災地の宮城県南三陸町を訪ねたことがある。夜は民宿「なか」に泊まった。8月だったが、エアコンがなく、扇風機だけだけなのに、暑くはなかった。
 夕食は海の幸が豊富だった。焼き魚、ホヤ、マツモなど。そしてウニ。イガイカガの殻に入ったものが2つ、ほかに身だけを取り出したものもあった。「海のものは、おじいちゃんが獲ってきた」と、女将が話していた。おじいいちゃん、よくぞ獲ってきてくれた。
 その夜はもう1人泊まっていた女性がいた。食堂で一緒になり、ビールを飲みながらおしゃべりをした。どういう経緯だったか覚えていないが、マナーの先生、平林都さんの本は全部読んだと言う。平林さんとは30年以上の友人だと告げると、ますます話が盛り上がった。これもウニのおかげかも。
 エリンギを食べやすい大きさに切り、強いだしで煮る。さらに白だしでも少し味をつける。煮上がったら取り出して水分をふき、ウニしょうゆ(なければ瓶詰の練りウニ)で和える。
 まあ、通常はウニをガバガバ食べられるわけではないので、この程度ではある。ただ、エリンギは目をつぶって、「これはアワビだ」と思って食べれば、そうとも思えるので、この料はアワビちウニのコラボみたいなもので、なかなか高級である。ただし、芽をつぶって食べることを忘れてはいけない。(梶川伸)2021.10.10

更新日時 2021/10/10


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