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人工呼吸器の人のための音楽会 11月17日に蛍池

コンサートに向けて打ち合わせをする金田さん(右)と吉田さん

 自発呼吸ができずに人工呼吸器を装着している人と、その家族のためのコンサート「YELL(エール)」が11月17日午後2時半から、豊中市蛍池中町3、豊中市立ルシオーレホールで開かれる。コンサート会場には電源を確保し、参加者がいつでも自由にたんの吸引がきるよう配慮する。豊中市内でハンドベルの演奏活動をしている「ハンドベルチームmyu」が主催となり、イベントやライヴの企画・制作をしているディレクションファンズが協力する。
 ハンドベルチームの代表で音楽教室も開いている吉田寛子さんが、入居していた「とよなか起業・チャレンジセンター」(豊中市蛍池中町3)で、ディレクションファンズの代表、金田宏史さんに出会ったことが、コンサートを開くきっかけだった。金田さんの妻、春美さんは5年ほど前から筋萎縮性側索硬化症(ASL)を患っている。ASLは脳や末梢神経からの命令を筋肉に伝える運動ニューロン(運動神経細胞)が侵される難病で、筋肉を動かそうとする信号が伝わらなくなるため体を動かしにくくなる。春美さんは現在、自分で呼吸することができず、気管切開をして人工呼吸器をつけている。金田さんは「気管切開をして人工呼吸器をつけている人は、日常的にたん吸引が必要となります。吸引時にはズズズッという音がしますし、吸引している間は呼吸器を一時的に取り外すため、アラーム音も鳴ります。どうしてもコンサートや演劇の観覧は制限されてしまいます」と話す。吸引は頻繁な人で30分に1度必要だという。
 金田さんは人材派遣会社に勤めていたが、妻の介護とサラリーマン生活を両立できずに2011年9月に退職。2012年3月に自らの会社を立ち上げた。春美さんは音楽が好きで、発病前は夫婦でコンサートや演劇鑑賞によく出かけていたという。「また妻に生の演奏を聞かせてやりたい。このコンサートでは音を気にせず、好きな時に自由に吸引できるようにした」と話す。
 当日の会場は椅子などを取り除いてフラットな状態にし、延長コードを多数用意して電源を確保する。また、寝台に近い状態の車いすの人でもステージが見えるように、と現在試行錯誤中だ。コンサートではピアノやハンドベルの演奏、朗読などが予定されている。無料。定員は50組。要予約。会場案内などをするボランティアも同時に募集している。予約、問い合わせなどはディレクションファンズ(06-6105-5054)へ。(早川方子)

更新日時 2013/10/10


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