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池田の行きつけ⑪ にんじん

逸翁美術館の伊井館長(左)と、店主の中森さん

 池田市役所から逸翁美術館へと向かう道の途中に、ニンジンののれんを掲げた店がある。店名はそのまま「にんじん」。行きつけとしているのは、逸翁美術館館長の伊井春樹さんだ。
 初めて訪れたのは約3年前。伊井さんが館長に就任して間もなくのころだった。名物という「チキン南蛮定食」を頼んだところ、大きな皿に唐揚げとキャベツが山盛りで出てきた。「食べるだけで必死。なんとか残さず食べましたが、次からは半分にしてもらってます」という。
 店主の中森秀俊さんは、神戸、石橋、宝塚と移りながら店を経営し、6年前に今の店を出した。「にんじん」の名前は「人がたくさん参るように」という思いから。チキン南蛮定食はその量にも驚くが、よくあるタルタルソースではなく、自家製のあっさりとしたドレッシングを使っているのも特徴だ。「これなら意外と食べられる。もし残っても、持ち帰って後で食べてほしいな。キャベツも、お好み焼きの材料にしてくれたらええ」と話す。
 営業時間が短めだが、それは40年以上連れ添った中森さんの奥さんが入院中だからだ。「ずっと共働きで苦労かけてきたから、恩返ししたいねん」。ぶっきらぼうに誠実に、そうつぶやいた。(礒野健一)

【にんじん】池田市大和町4-19▽072-752-7738▽11時~13時半、17時~20時半▽水曜、第4週木曜定休

更新日時 2014/02/10


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