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豊中・池田の文化財⑤ 佐竹本三十六歌仙切

重要文化財「佐竹本三十六歌仙切 藤原高光」紙本着色 伝藤原信実画 伝後京極良経詞書 鎌倉時代

 三十六歌仙絵とは、藤原公任によって撰ばれた36人の優れた歌人の像を描き、その略伝と詠歌を書き添えたものです。中でも現存する歌仙絵中最も成立が古く、優れた作品とされているのが、この「佐竹本三十六歌仙絵」です。1919(大正8)年、当時あまりにも値段が高くなり、1人では購入できる人がいなかったため、巻物状態になっていたものを分断し、一歌仙ごとに軸装にして分蔵することとしました。文化財保護法のある現在ではとても考えられない話ですが、当時も様々な論議を巻き起こしました。
 分断された佐竹本は、くじ引きで購入者を決めましたが、やはり人気が高かったのは斎宮女御など姫の絵です。当時の逸翁はくじ引きに参加できるほどの大茶人ではなく、手に入れたのはずっと後のことでしたが、それでも歌仙切を手に入れることは十分に茶人としてステータスが高かったため、手に入れた際の喜びはひとしおだったことでしょう。後に親友の松永耳庵が佐竹本を手に入れた際、「これで耳庵もいっぱしの茶人になった」という言葉を残していることからもわかりますね。(逸翁美術館学芸員・宮井肖佳)
=地域密着新聞「マチゴト豊中・池田」61号(2014年3月13日)

更新日時 2014/03/11


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