このエントリーをはてなブックマークに追加

編集長のズボラ料理(83) アスパラ、カニカマ、チーズの春巻き

アスパラがメーンだが、具の組み合わせは好みで

「お試し遍路」と僕は読んでいる。雰囲気を味わいたいと思っている人に、お遍路さん体験をしてもらうことだ。
 仕事の同僚と大学生と計3人で、1泊2日で香川県のお試し遍路に出かけた。お試しなら、1番札所から回るのが普通である。なぜ、香川県か?
 大学生は全くの初めてだったが、同僚は実は2回目だった。1回目は日帰りだったが、場所は香川県で、79番天皇寺から81番白峯寺まで歩いた。だから香川の霊場が気に入ったのかというと、そうではない。遍路の締めくくりに、僕が高松勤務時代にお世話になった居酒屋「遊」に行った。そこが気に入っただけのことだ。特に、店で食べた「さぬきのめざめ」というアスパラが。動機不純な遍路である。
 もう1つ不純な動機がある。山といえば川、香川県といえば讃岐うどんと決まっている。1回目のお試し遍路の途中、「蒲生」に寄ってしまった。僕のお薦めのうどん屋さんで、どうもそれが悪かった。2回目も、同僚の魂胆が見え見えなのだ。
 2回目のお試しは、高松に着いて、まず昼ご飯。当然うどんである。竹清で、ゆで卵の天ぷらをトッピングしたかけうどん食べた。ただし、うどんは「小」に抑えた。もう1軒、近くの「さか枝」で腹を満たすためだ。そして、遍路へ。84番屋島寺から85番八栗寺へと歩き、お参りの後、草餅を食べて、電車で市の中心部まで帰った。もう、夕方になってしまった。
 当然のように遊に向かった。同僚の思うつぼである。女将が勝手に食べ物を出してくる。満腹になって、店を出ようか、と思った瞬間だった。さぬきのめざめが出た。大きなアスパラ。それを生で食べる。同僚は、バクバク食べている。遍路をして心を洗おうなどという気など、さらさらないのか。
 翌日は雨だった。ちょっと、まずい。意欲がそがれたという。そこで寺は75番善通寺だけにしてした。大いに、まずい。同僚は前日、札所の寺で、雨を祈願したに違いない。願い通り、余った時間はうどん屋めぐりになった。松下、大師うどん、八輻、うどん市場。どうも、はめられたようだ。同僚は善通寺で傘をなくしても、何ら不自由しなかった。ならば、もっと札所を回れたのではないか。今後、「お試し遍路に行きたい」と言っても、もうその手は食うか。
 大学生の動向が見えないかもしれないが、初心者らしく、すべて先輩である同僚に従った。アスパラも、おいしいと言っていた。
 大阪では、さぬきのめざめは手に入らないから、普通のアスパラを買ってきて、ピーラーで皮を取る。カニカマボコは身をほぐす。アスパラ、カニカマ、とろけるチーズ春巻きの皮に包んで、揚げる。何かで見たメニューだが、どこで見たのかは忘れてしまった。それよりも問題は、遍路とアスパラと、どちらが重要かということだ。(梶川伸)

さぬきのめざめ

更新日時 2014/04/15


関連リンク