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心にしみる一言(15) 顔がなくなって見た目は悪いけど、足も丈夫だし、打ち込める和裁もある 

2001年8月23日毎日新聞

◇一言◇
 顔がなくなって見た目は悪いけど、足も丈夫だし、打ち込める和裁もある

◇本文
辻村恒子さんは出会う人ごとに、生きる力を分け与えているような気がする。元気な人だ。
がんの手術で、右目から上あごにかけての肉と骨を切り取った。顔の3分の1に穴があき、口の中の歯などがむき出しになっている。普段はガーゼと油紙で覆ってはいるものの、「顔を上げて歩けない日が続いた。やっぱり女やさかい」
「おつゆを飲むと、顔の穴から出てしまう。小鳥にえさをやるように、うどんは1本ずつ上からたらして食べる。話もうまく通じない」。でも、この言葉を自分に言い聞かせて、開き直った。
ウオーキングの仲間がいる。スリランカに出かけて、幼稚園の子どもたちに日本の遊びを教え、交流が続いている。「大きな病気をしたので、安物の病気はせえへん」。人間の生命力は強い。(梶川伸)=2001年8月23日の毎日新聞夕刊に掲載したものを再掲載2015.03.23

更新日時 2015/03/23


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