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編集長のズボラ料理(317) チーズ・ベーコン詰め万願寺の天ぷら

万願寺の切り口には衣を多めに

 シシトウも好きだが、万願寺トウはさらに食べやすい。シシトウは辛いものもあるが、万願寺は甘みがあるからだ。
 しかし、先祖返りなるものがある。万願寺といえども時々、辛い物もある。いや、あった。以前は4~5袋に1つくらいは辛い万願寺があった。面倒くさいから、辛万と略す。
やっかいなのは、1袋の中で1つ辛万があると、ほかにも2~3はある可能性が高かった。だから細心の注意で食べた。
 品種改良が進んだのか、最近はたまにしか辛万には出くわさない、万願寺甘トウという言い方まである。世界は温暖化に進み、万願寺は段々甘くなっているから、甘段化に向かっている。
 これもやっかいなことだ。甘いと信じ込んでいるから、警戒心がない。そんな時に限って、かんだ瞬間に「カラッ」と不意打ちをくらう。
 それが1袋の料理の終わりころならまだましだ。警戒しながら食べる個数がほとんど残っていない。いざとなれば、わずかな数は残してしまえばいい。
 中断でぶち当たったらどうなるか。残り半分の中には、1つぐらいは辛万があるかもしれない。だから、甘いはずだと自分に言い聞かせながら、おっかなびっくり食べる以外にない。
 最悪のケースは、1つ目か2つ目に遭遇すること。残りは多い。必ず辛万はある。その場合は、ほかのおかずばかりに箸(はし)を伸ばし、他人が犠牲になるのを待つしかない。
 自宅前のイオンの食料品売り場の前で、京都の農産物を集めて売っていたので、通りすがりにのぞいてみた。万願寺もあったのだが、万願寺シシトウと万願寺甘トウの2種類が置いてあったからややこしい。見た目では違いが分からない。まあ、万シシの方が先祖返り万に出会う確率が高いだろう。そんな甘い考えで、甘万を選んだ。正解だったが、万シシだったらどうなったどろうと、思わないでもない。
 大きめの万願寺を選び、へたの部分を切って中が見えるようにする。箸などを使い、中の種の部分をくり抜く。その空洞にとろけるチーズを入れれ、入り口をベーコンで塞ぐ。小麦粉まなぶした後、小麦粉とコーンスターチ、水を混ぜて衣作り、万願寺を天ぷらにする。
 種をとっているので、あまり警戒の必要はない。それでも先祖返りはあるだろうが、それは万願寺に1つ、いや万に1つくらいのものだ。(梶川伸)2018.10.21

更新日時 2018/10/21


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