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編集長のズボラ料理(440) 煮大根のバルサミコ焼き

大根もパン粉も焦げすぎないように

 神戸コロッケが出たころ、驚きに近いものが3つあった。1つは人気に乗って、急速に広がったこと。僕もデパ地下でしばしば買って食べた。たかがコロッケなのに、と思いながら。
 しかし、この「たかが」がヒットの大きな要因ではないか。たかがコロッケだから、それほど高くない。でも、普通のコロッケよりも1ランク上。この微妙な差が、消費者の心をくすぐる。僕など、くすぐりに弱いから、すぐに買うし、買える。
 しかし、ゴディバのチョコレートは、買ったことがないし、買えない、1個が何百もすれば、「たかが」ではなく「たかい」となってしまう。だから、店はそれほど広がるわけだはなく、バレンタインデーの季節限定オープンになる。
 広島発の八天堂のクリームパンは買える。「たかが」商品だからだ。群馬発のガトーフェスタハラダのガトーラスクは買える。名前を覚えにくいことと、デパートで買う時に少し並ぶことを我慢すれば、これも「たかが」商品だからだ。
 驚きの2つ目は、神戸市・南京町発だったこと。南京町といえば中華料理だし、買い食いなら豚まんと決まっている。それなのに神戸コロッケは中華味でもないし、肉は豚ではなく牛にこだわっている。南京町らしくない。
 買い食いもあまり見ない。どうも家に持って帰って食べるものらしい。このあたりが、「たかが」の1つ上のあかしなのだろう。
 3つ目はパン粉が大きいこと。これがサクサク感を演出する。1つが普通のパン粉の10倍くらいあるから、他のコロッケを圧倒する。
 そういえば、最近はスーパーでも1つが大きい生パン粉が、大きな顔をしていて、固くて細かいパン粉は影が薄い。僕は昔型パン粉派なのだが、探すのに苦労する。
 大根を輪切りにして皮をむき、米のとぎ汁でしばらくゆでる。いったん取り出し、今度はだし、砂糖、みりんで煮て味をつけ、後からしょうゆも加えて、柔らかくなるまで火にかける。皿にバルサミコを注ぎ、水気を切った大根を入れ、裏表によくしみこませる。フライパンにオリーブオイルを入れて熱し、弱火で大根の両面を焼き、皿に盛る。
 ベーコンとニンニクをみじん切りに、パン粉と混ぜる。それをフライパンで乾煎(からい)りする。弱火でゆっくり煎り、茶色く色が付き始めたら、大根にかける。
 細かいパン粉でしかやったことがないが、次は生パン粉を使ってみようか。「たかが」から脱出できるかどうか。(梶川伸)2020.09.25、
 
 

更新日時 2020/09/25


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