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編集長のズボラ料理(484) 豚肉とコマツナのオイスターソース炒め

コマツナは後から入れて、炒めすぎない方がいい

 両親が広島出身だということもあって、子どものころからカキにはなじみがあった。今でも好きな食べ物の1つとなっている。
 以前、千葉に住む弟を訪ねた際、東京のオイスターバーでおごってもらったことがある。僕のカキ好きを知ってのことだった。そこで遠慮なくごちそうになった。
5種類か6種類が1セットだったが、ためらいなく2セット目を頼んだ。
 実は僕だけでははなく、娘も一緒だった。だから2セット目は、少しだけ遠慮して娘と分けた。それでも散財させたのには違いないので、それ以降、弟一家が遊びに来ると、ズボラ料理を一品余分に作ることにしている。弟思いの兄である。
 バーで食べたものの中には、サンフランシスコなどの外国産もあったが、気に入ったのは北海道・厚岸産のものだった。北海道に行った際には、厚岸産のカキが乗ったソバを食べたほどだ。
 オイスターソースを知ったのは、大人になってからだ。職場の先輩の送別会が大阪市・梅田の中華料理店であり、ナスのオイスター炒めを食べて目覚めてしまった。
 カキのイメージとはほど遠い。味にしても全く違う。色もそうだ。メニューの名前を知らなかったら、それとはわからなかった違いない。でも、気に入った。それからは、困った時のオイスターとなった。
 ただ、使うのはスーパーで一般的に置いている大手メーカーものばかり。そのうち、あの黒い色に慣れてしまった。カラメルのような食感も好きになった。
 ある時、グルメの友人から漁協が作ったオイスターソースをもらった。色は黄土色に近い。それだけで衝撃を受けた。味わうと、カキの味を少し感じる。それまで味わっていたオイスターシースは何だったのか、となる。
 しかし、もう遅い。黒い方が頭にインプットされていて、後戻りができない。中国ではギョウザといえば水ギョウザなのに、日本では焼きギョウザだと頭にこびりついているのと同じ構図である。
 切り落としの豚肉を用意し、コマツナのざく切りと一緒に炒める。だしの素、砂糖、酒、しょうゆで味をつける。最後にオイスターソースを加え、かたくり粉でトロみをつける。
 何でもかんでもオイスターソースと書いたが、これを使うと中華料理になる、という思い込みがどこかにある。バジルを使えばイタリア料理、カレーには福神漬けと同じ頭の働きだろう。(梶川伸)2021.02.22

更新日時 2021/02/22


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