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心にしみる一言(287) 襲撃を受け、それからは毛布を顔にかけて寝ている

にぎやかな新世界の周辺道路にも野宿生活の人があふれていた

◇一言◇
 襲撃を受け、それからは毛布を顔にかけて寝ている

◇本文◇
 新型コロナウイルスの感染の拡大によって、仕事を失い、野宿やそれに近い生活を余儀なくされている人が増えている。大阪では20年あまり前、野宿生活者が1万人に近づいた時期があった。
 特に大阪市・釜ヶ崎あたりに集中し、新世界の周辺の路上にもあふれた。そんな時、後輩の記者に誘われて、そんな時期、後輩の記者に誘われて、野宿生活者の支援をしているグループの“夜回り”に同行させてもらったことがある。日本橋筋で1人の男性は、襲撃された体験を生々しく語った。
 「車がきて、石か何かをタイヤではねたと思った」。寝ていたが、午前1時から1時半の間だという。実はエアガンと思われるものによる襲撃だった。「起き上がると、窓を開けて撃ってきて、走り去った」。今は段ボールをついたてにしていると語った。
 別の男性も、ひどい襲撃を受けていた。「午前2時ちょっと前、みけんを撃たれた」。指さす場所を見ると、血が出た小さな傷が残っていた。体を巻いていた毛布に、血の跡があった。「はっきりと見たわけではないが、3メートルほどの距離に白い車が止まっていた」。肌を露出している部分を狙っていたのだろう。「それからは毛布を顔にかけて寝ている」。寝る場所も少し移動したそうだ。「ここは斜めになっていて、寝にくいけど」とも話した
 2人の話は、路上生活というだけで狙われたと感じた。なぜ、弱い人に暴力に
が向くのだろう。コロナ禍の中で、同じような流れができることを恐れる。(梶川伸)2021.02.10

更新日時 2021/02/10


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