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心にしみる一言(354) 慰霊の催しをしている場所を教えてほしい

2021年の長田区の小さな慰霊祭

◇一言◇
 慰霊の催しをしている場所を教えてほしい

◇本文◇
 阪神大震災の記念日(1月17日)がまたやってくる。今年で27年を数えることになる。
 震災から4日目、神戸市長田区を中心に被災地を取材し、いくつもの悲しみを聞かせてもらった。その取材体験もあって、翌年から毎年、震災発生時刻は長田区の被災地にいることにしている。取材するわけでもなく、ただその時刻の寒さと暗さを、1年に1回だけ感じることで、震災を忘れないようにしている。
 その習慣が身に着いてきた、と思った年があった。2010年だった。
 自宅は京都府内なので、発生時刻に長田にいるために、前日から神戸に行き、目的地近くのホテルに泊まった。前日は時間があるのでウロウロしていると、年配の女性に声をかけられた。「鉄人28号はどこですか」
 28号は前年に設置された巨大なモニュメントで、神戸復興の象徴にもなった。声をかけられた場所からは近かったので、現場まで案内した。夜はホテルのテレビで、大震災をテーマにした「神戸新聞の7日間」を見た。
 17日は5時20分ごろにホテルを出た。そのとたん、男性に声をかけられた。それが、取り上げた言葉だった。
 震災の当時の住居は神戸市須磨区だったが、会社が長田区で大きな被害を受けたそうだ。その後、神戸を離れたが、「15年目で初めてやってきた」と話した。大国公園の地域の慰霊祭に案内し、しばらく一緒に参列したが、私は分かれて、鷹取教会、旭若松公園などの慰霊祭などへ向かった。その男性も、ホテルに泊まっていたはずだ。15年間、震災の時間帯の神戸に行ってみたいと思い続けていたのだろう。(梶川伸)2022.01.05

 

更新日時 2022/01/05


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