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編集長のズボラ料理(580) 豚の三枚肉の酢・しょうゆ煮

個人的には酢が多い方が好み

 豚カツを食べる。周りに脂身がある。これがなければ、もっといいのに。庶民の大きな悩みがそこにある。
 赤身と脂身を比べれば、赤みの方がいいに決まっている。しかし、赤身だけは物足りない。そこで、ヘレよりもロースのカツを選ぶ。ここから悩みが始まる。
 豚カツは謎に満ち、食べる者を試してくる。カツだから肉は衣の下に隠れていている。でも、脂身の場所はだいたい分かる。
 脂身を最初に切り取る人がいる。そのうえで、赤身を切って順番に口に運び、最後は脂身を皿に残す。そんな勇気は僕にはない。
 そこで、赤身に少しだけ脂身をつけた切り方をする。8対2が黄金比率だが、カットの仕方はそれほど難しくない。
 カツの肉は少し扇方をした長方形をしている。店で皿に入れて運ばれてくると、たいていは脂身が上辺になるように置かれている。だからナイフとフォークを使って縦に普通に切ると、考えなくても黄金利率になるようになっている。
 ただ、ここからが問題で、縦カットをしても、それを上から食べるか、下から食べるかという問題が発生する。つまり、上から食べれば脂身をたべてから赤身となる。下からではその反対。黄金比率のまま食べることは不可ので、豚カツが持つ根本的な問題は解決できない。
 時たま、脂身が上辺から左端へと続いているケースがある。これが曲者だ。縦切りで食べ進んでいくと、最後に左端の脂身だけになる。最後はおいしい肉でしめたいと思い、皿のキャベツもポテトサラダも食べ終えておいて、最後に赤身をと思っているのに脂身だと、食べ始めてからの段取りと努力が一挙に無に帰してしまう。
 これを避ける技がある。中盤から終盤にかけて、縦切りを少しずつ時計と反対回りに倒していき、最後に横切りにまでもっていく。こうすれば黄金比率を保てるが、この技を身につけるには、1週間に1度は豚カツを食べて、精進する以外にない。
 その点、三枚肉は赤身と脂身が交互にあるので、技など必要ない。ズボラ料理にはもってこいではないか。
 三枚肉は食べやすい大きさの角切りにし、下ゆでして取り出しておく。ゆで卵を作り、皮をむく。ネギはカットしておく。鍋にだしをとり、三枚肉をゆでる。味つけは砂糖、しょうゆ、酢。柔らかくなったら、ゆで卵とネギを入れて煮る。
 豚カツは皿に乗せる時、なぜ脂身が上なのか。これも謎でる。赤身を大事にするので、食べる人に近い側に置いているのだろうか。(S)2022.02.14

更新日時 2022/02/14


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