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編集長のズボラ料理(656) レンコンとニンジンのきんぴら

ニンジン使っているので、焦がさない方がいい

 友人の家で飲んでいて、きんぴらの話題になった。酒のあてに、レンコンのきんぴらが出てきたからだ。常備菜だという。
 きんぴらは家で食べる和風のおかずの代表格の1つと言える。僕にとっては、代表的なあての「つでもある。ただし、家庭料理の居酒屋さんか、京都のおばんざいの店ではメニューにあるが、普通の居酒屋さんではあまり見ない。きわめて家庭的と言って良い。
 話のきっかけは、好きなきんぴらの順位だった。きんぴらと言えば、普通はゴボウとなる。ところが2人ともレンコンが1番だった。この一致が、話をドンドン進めてしまった。
 冷蔵庫から運ばれてきたきんぴらは、レンコンを短冊切りにしてあった。しかも、色は薄い。これは邪道だろう。
 薄い輪切にして甘辛く炒めるのが王道ではないか。しょうゆの色がついて、油と砂糖で照りが出ていていてこそきんぴらである。もっと言えば、少し焦げているのが、きんぴらの心髄ではないか。
 友人のレンコンは縦切りで、しかも分厚い。色も上品で、しょうゆ色がついていない。さらに焦げ目がない。これではレンコン炒めであって、きんぴらではない。欲求不満症になりかかったが、味は良かったので、けんかにまでは至らなかった。
 次に2位以下の順位に話は移った。友人はゴボウ、ニンジンの順。僕はニンジン、ゴボウ。好みが分かれたが、誤差の範囲だから、けんかをする必要もなかった。
 友人はメダル圏内のランクづけで満足していたが、僕には4位がある。ブロコリーの茎である。5位だってある。そうれはウ。でも、友人はもう飽きてきたようで、もはや話に乗ってこない。
 僕は止まらない。「きんぴら」の音で思い出したことがあったからだ。新聞記者で神戸市役所を担当していた時、役所のそばにあった「金(きん)ぷら」という食堂でよく昼ご飯を食べた。そんな話題だった。何でもフライにして料理に乗せる店で、冬にはカキフライカレーを食べた。おもしろいと思って話しているのだが、友人は全く関心を示さなかった。
 さらに続く。ニンジンのきんぴらと、ニンジンシリシリはどう違うのだろう。友人に聞いてみたが、答える素振りも見せなかった。
 レンコンは薄い輪切にする。ニンジンはピーラーかスライサーで薄切りにする。フライパンにサラダ油とゴマ油を入れて熱し、レンコンとニンジンを入れて炒める。だしの素少々、砂糖で味をつけ、火が通ったら酒としょうゆを加えて、柔らかくしながらさらに炒める。
 きんぴらと、きんぴらの話題だけ飲めるのだから、友人とはいいもんだ。今度は2種混合きんぴらで、続きをやってみよう。(梶川伸)2023.04.03

更新日時 2023/04/03


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