このエントリーをはてなブックマークに追加

豊中運動場100年(23)  第2回関西学生野球/コールドゲーム続出

当時の大阪の街頭風景。ステッキに帽子の男性や着物姿の女性が豊中運動場にも大勢詰め掛けた

 大正時代の初め。野球の試合は1時間半程度で終わっていた。2時間以上かかる試合は滅多になく、乱打戦になったり、抗議が長引いたりしたようなときに限られていた。
 各地から参加チームが集まる大会は期間が限定されていたこともあり、1日に最高5試合組むことが珍しくなかった。当時は、当然のことだが照明設備はない。夏でも午後6時を過ぎると急に夕闇が濃くなり、ボールがほとんど見えなくなる7時ごろに日没コールドゲームになることが多かった。
 1914(大正3)年8月に開催した第2回関西学生連合野球大会は、決勝の1試合だけだった最終日を除いて日没が最大の敵となった。
 第2日の8月2日。第1試合と第2試合は大差のつくゲーム展開になり、大阪工業と神戸二中がそれぞれ7回コールド勝ち。第3試合は前日に遅刻で敗退した平安中がなぜか復活。滋賀師範と1点を争う接戦を演じる。同点で9回を終えた時点で午後3時を回っており、このまま延長戦に入ると第5試合ができなくなる恐れがある。引き分けで両チーム勝ち上がりということになった。それでも第5試合は薄暮の中で試合が始まり、午後7時半にはボールが見えなくなったため6回コールドで愛知一中の勝ちが決まった。
 翌8月3日。夜中に降り続いた雨は上がり晴天となる。実力伯仲の好ゲームが続き、明星商業、大阪商業、京都一商、神戸二中が勝利を飾った。東海地区の強豪・愛知一中を接戦の末に破った大阪商業の戦いぶりが目立った。この日は日没が近づいていたことから第5試合は翌日に順延となる。前日にボールがみえなくなる時間帯までゲームを引っ張ってしまった反省もあったようだ。
 大会は初の優勝戦に向けて大詰めを迎える。(松本泉)
■第2日(8月2日)結果
大阪工業16―5桃山中(7回コールド)
神戸二中9―2京都一中(7回コールド)
滋賀師範2―2平安中(9回引き分け)
神戸一中5―3和歌山中
愛知一中5―1同志社(6回日没コールド)
■第3日(8月3日)結果
明星商業2―0平安中
大阪商業4―3愛知一中
京都一商8―5京都二中
神戸二中12―2大阪工業(5回コールド)
神戸一中―滋賀師範(日没順延)

関西学生連合野球大会 大阪工業 桃山中 神戸二中 京都一中 滋賀師範 平安中 神戸一中 和歌山中 愛知一中 同志社 明星商業 大阪商業 京都一商

更新日時 2014/05/08


関連地図情報

関連リンク