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寺の花ものがたり(259) 切幡寺(徳島県阿波市)桜=3月下旬~4月上旬

2016年4月4日撮影

 桜の寺は多い。四国88カ所の霊場も同じで、ちょうど良い時期に行き合わせると、春の遍路のうれしさを味わう。
 徳島県阿波市の10番切幡寺は、山道と333の石段を登る。登りの所要時間は20分弱。その後に待っている難所の寺に比べれば、大したことはない。
 遍路道は実にうまくできている。2つ先の12番焼山寺は、「遍路ころがし」と呼ばれ、修行を実感しる場所。切幡寺はそのための足慣らしの寺と言ってもいい。
 ここで取り上げた時の参拝は、実にいい日だった。石段の横には、スミレが咲いていて、春らしい。境内はさらに春に包まれていた。
 本堂から少し登った場所に大塔がある。下から見ると、桜に飾られていた。塔まで石段を登って行くと、今度は下に桜と伽藍の瓦屋根が見える。さらに遠くには吉野川とその流域の平野が広がっていた。
 「ご褒美をもらった」。ヒーヒー言いながら登ってきたお遍路さんが、桜を見てそう口にした。のどかな春。境内には、イチハツ、シャガも咲いていた。

◇切幡寺(きりはたじ)◇
 徳島県阿波市市場町切幡観音129。JR鴨島駅からタクシーで30分。0883-36-3010。空海は僧衣を繕うため、機織りの娘に布を所望すると、娘は織りかけていた布を切って差し出した。空海はこの厚意に感動し、仏門に入りたいという娘の願いを叶えたところ、娘が千手観音菩薩に姿を変えた。そういった伝説がある。本尊は千手観音。境内自由。
(梶川伸)=状況が変わっていることもありますので、ご了承ください。2021.03.13

更新日時 2021/03/13


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