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編集長のズボラ料理(513) セロリのしょうゆ炒め

ニンニクオイルで炒めてもいい

 1泊2日で新潟に行った時だった。長岡市の良寛ゆかりの場所や、新潟市の新潟の北方文化博物館などを訪ねた。
 しかし、1番気に入ったのは、JR新潟駅に隣接した「ぽんしゅ館」だった。「ぽんしゅ」とは「日本酒」からの発想。新潟は米どころで、同時に日本酒の産地でもある。この施設は日本酒を中心に、新潟の物産をPRして販売する。
 カンターで500円を払うと、コイン5枚とおちょこを1つくれる。コインロッカーのように壁一面に各酒蔵のボックスが並ぶ。好きな酒蔵のボックスの酒の出口におちょこを置き、コインを投入してボタンを押して酒を注ぐ。つまり500円で5種類の酒が飲めた。
 これは楽しい。その時は98のボックスがあった。塩とみそも置いてあった。それをなめ、酒を飲む。利き酒のつもりだったが、5種では止まらない。さらに500円を出し、次から次へと飲んだ。そこで留まればよかったのだが、2日目も再訪し、2日で計15種類を飲んでしまった。この施設は、観光客を堕落させる。
 日本酒の人気ランキングも表示してあった。飲まれた数をカウントしているのだろう。月ごとに変わるようで、その時は①越後鶴亀②地上の星③北雪だった。僕は長岡市に行ったよしみで、個人的には吉乃川を1番にした。そんなことで遊べるのだから、新潟観光は安上がりですむ。
 このタイプの日本酒の利き酒設備は、ほかでもある。以前は大阪空港ビルにもあった。大阪市・難波の高島屋の別館には、伏見の酒を集めた設備がある。しかし、ぽんしゅ館では、他では見ないものがあった。
 新潟は酒蔵も多いが、しょうゆ蔵の多いらしい。しょうゆもたくさん販売していた。買ってもらうには、味を知ってもらう必要がある。そこで、利き酒ならぬ利きしょうゆができるのだ。皿に10種類前後7のしょうゆが入れてあった。それを耳かきほどの大きさのプラスチックスプーンで、すくってなめる。
 みみっちいと思うかももしれない。しかし渦巻き模様のおちょこで利きしょうゆをしたら、大変な事態になる。それに旅先のこと、耳がかゆくなったら、その超小型スプーンをもらっていけばいい。
 耳はかゆくなかったので、しょうゆを買って土産にした。やはり良寛に縁を感じて、長岡市の岡市の「株式会社越のむらさき」の「天然醸造・越の香」だった。新潟は何でもかんでも「越」なのだと実感した。
 セロリはピーラーで筋を取り、細長い乱切りにする。フライパンでオリーブオイルを熱し、セロリを炒める。味付けはみりんとしょうゆ。どちらも耳かきよりは多く。料理とは言えないほどに食べ物だが、それがズボラに神髄。
 利きしょうゆのことで、ずっと気になっていることがある。試飲という言葉でいいのか。試なめという言葉はないのか。(梶川伸)2021.06.12

更新日時 2021/06/12


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