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編集長のズボラ料理(528) 野菜のゼリー寄せ

野菜は好みのものを何でも

 野菜好きな人がいる。そういう人は、野菜本来の味を求めて、新鮮なものを何もつけずにそのまま食べる。通だなあと思う。
 テレビ番組で時々、レストランのシェフが自ら畑に出向いて、採れたての野菜を食べる場面が出てくる。これはカッコいい。それだけで、このシェフは名のある人か、三ツ星シェフではないかと思わせる。
 そこまでいかなくても、気の利いたレストランで、生野菜を何もつけずに食べている客がいる。そんな場合、野菜はおしゃれに盛り付けてある。そして、決して量は多くない。それを味わう。おしゃれだなあ、と思う。
 僕はどうか。メーンの料理に生野菜がついていたとする。レタスだとかキャベツ、カイワレ大根、細切りのニンジン、キュウリ、タマネギ……。これらはドレッシングなどつけない。メーン料理の味で、野菜もガバガバ食べられるからだ。豚カツ屋さんのキャベツお代わり自由が典型である。
 宿に泊まり、朝食はバイキング形式のことがある。野菜を大量に取る。その場合、必ずトミニトマトをたくさん入れる。そうすれば、トマトの味が強いので、ドレッシングはいらない。
 バイキング形式では僕の場合、自らに課しているおきてがある。バイキングにはカレーがつきもので、ルーだけを必ず食べてみる。たとえ朝食であっても、カレーがあればおきてを守る。カレーが辛かったり、味が強かったりするので、味の弱い生野菜は、カレーの味を中和するためにほしくなる。
 ただ、僕の野菜の食べ方では、おしゃれ度に欠ける。そこで野菜のゼリー寄せに挑戦する。これは涼やかで、おしゃれ度はバイキングの野菜の10倍はある。その理由は透明感にある。
 ゼリーが透明ということは、味をつけていないということだ。ことろがゼリー寄せは、独立した完全料理である。ということは、メーン料理やカレーのルーの味を頼りに食べるわかにはいかない。そこで、つい味をつける。味をつけると透明度が落ちていく。透明度が落ちればおしゃれ度が下がる。下がり方はせめて、バイキングの5倍程度で収めたい。
 ソラマメをゆでて皮をむく。オクラ、エンドウマメ、ニンジン、ナス、ズッキーニをゆで、大きいものは小さく切っておく。トウモロコシはゆでて実をはずす。ナガイモ、ラテッシュは生のままで適当に切り、軽く塩をふっておく。それらを混ぜて容器に入れる。だしを取り、白だしを加え、粉のゼラチンを加えて熱する。粉のゼラチンが解けたら野菜を入れた容器に注ぎ、冷めたら冷蔵庫に入れて冷やす。
 完全な透明の方が、やはりおしゃれ度が高い。でもその場合には味が物足りず、ポン酢をかけたくなる。そうすると、またおしゃれ度が下がる。どうしたものか。悩むこと自体、おしゃれ度に欠ける。どうしたものか。(梶川伸)2021.07.25

更新日時 2021/07/25


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