編集のズボラ料理(854) 白ネギのワサビかき揚げ
ワサビは「ツーン」だと思う。辛(から)さの表現のことだ。「鼻にくるーッ!」とも言う。辛さは鼻で感じるのだろう。「ツーン」も、鼻に抜けるイメージから来たような気がする。
サンショウは「ヒリヒリ」だろう。「ピリピリ」でもいい。しびれる感覚がある。舌で感じるから、舌を出して声も出す。
麻婆豆腐を店です食べると、「花椒(ホアジャオ)」の文字を見ることがある。「花」と美しい字を使ってはいるが、気を許すとえらいめに合う。
奈良市・学園前の中華料理店「四川」に、昼ご飯を食べに入ったことがある。店の前で、映像を使って幸福麻婆豆腐セットをPRしていた。名物なのだろう、それを注文した。
麻婆豆腐とご飯、卵スープ、ザーサイのシンプルなセット。麻婆豆腐はサンショウの辛さがきいていて、十分にヒリヒリしていた。それでも物足りない人がいるのようだ。テーブルの上に、乾燥したサンショウの葉と実を入れた容器が置いてあり、振りかけるようになっていた。もし僕が使ったら、ピリピリぼ通り越し、ビリビリの辛さになったと思う。。
「辛(つら)いという字がある。もう少しで幸せになれそうな字である」。星野富弘さんの言葉だ。この店の幸福麻婆豆腐は、「ピリピリ=幸せ」「辛+一=幸」という思想に基づいているかもしれないが、そうだとすると僕は幸せになれないかも。
トウガラシは「ヒーヒー」ではないか。随分昔だが、タイのレストランでビールを頼むと、つき出しに小さな生のトウガラシがついてきた。警戒心なくかじると、「ヒーヒー」どころか、「ヒーヒーヒーヒーヒーヒー」だった。
和カラシは「辛ーッ!」で決まり。もしくは「きくーッ!」。
今回はワサビを使う。白ネギは細く切り、ボウルに入れる。ワサビをたっぷり加えて混ぜる。小麦粉を振ってまぶす。別のボールで、小麦粉に水を注いで天ぷらの衣を作る。ネギに衣をつけ、油でかき揚げにする。
このズボラ料理の狙いは、一口食べて隠れた「ツーン」を感じさせること。ところが、ワサビの味は感じるが、辛さは「ツ」程度。熱を加えると、辛さが飛んでしまうのだろうか。それなら、単純なかき揚げにしてから、皿の上でワサビを塗った方がいいのかも。それではおもしろくない。「隠れツ」にするか、「見え見えツーン」にするか、辛い選択を迫られる。(梶川伸)2026.02.18
更新日時 2026/02/18