編集長のズボラ料理(853) 切り干し大根のマリネ風
切り干し大根は意外性に欠ける。それはセットの料理の副菜が主な役割で、しかも味をつけて煮たものがほとんどだからだ。
家で作るならたくさんの量になる。しかし店のセット料理では、当然ながら量は少ない。その控え目な性格のために、どうも印象が薄い。
「大人の定食屋」と銘打った店に、一汁五菜定食があった。私が選んだのはせいろごはん定食で、すき焼き風のせいろご飯が中心。それにトウモロコシ豆腐がついていて、変わっているなあ、と思った。あとの三菜はヒジキ、マカロニ、そして切り干し大根の煮物。切り出し大根はいわば、一葉ひとからげの中の1つ。マカロニと一緒なんて、和と洋の混在で、どうでもいい食べ物のようで、かわいそうじゃないか。
兵庫県新温泉町・浜坂で20年近く前、味波季(あじなみき)という店に入った。水産会社の直営店だから、魚がたくさん食べられると思ったからだ。
その当時で800円の日替わり定食を頼んだら、予想通りだった。あまりのボリュームに驚き、メニューをメモしてパソコンの中に残しておいた。刺し身(カンパチ、アジ、ブリ)、天ぷら(エビ2、ナンキン、シシトウ、レンコン)、登板焼き(サケ、ピーマン、エビ、オクラ、トウモロコシ)、アジの南蛮漬け、アカラという小魚の煮付け。
それでいいじゃないか、と思うのだが、茶碗蒸しと切り干し大根の煮物がついていた。この2つは、品数を増やす定番料理なのだが、この量では、品数を増やす必要は断じてない。今では倍hどの値段になっているかもしれないが、そうだとしても切り干し大根は必要ない。
つまり、切り干し大根はおまけなのだ。しかも、いつも煮物と決まっているから、食べなくても味は想像でき、印象は薄い。
今回は切り干し大根に、ちょっと意外性を持たせよう。切り干し大根を戻し、だしの素、砂糖、みりん、しょうゆで味をつけて煮る。冷ましてから水分を絞り、ボウルに入れる。タマネギのみじん切りも入れ、オリーブオイル、酢、トマトの絞り汁、コショウ、カルダモンを加えて混ぜ、皿に盛る。
これでどうだ。和と洋の混在のセットメニューはけなしたが、これは1つの料理の中に和洋が混在している。こじつけではあるが、意外性は達成できただろう。(梶川伸)2026.02.13
更新日時 2026/02/13