編集長のズボラ料理(850) 白子のバター焼き
先入観はなかなか抜けないものだ。食べ物もしかり。
梅干しは酸っぱい。ずっとそう思っていた。梅干しだけを食べようすると、強い決意で取り組まないと、酸っぱさに負けた。
ところが、ハチミツ梅が登場して、様相は一変した。酸っぱくない。和歌山の親類が時々、梅干しを送ってくれるが、随分前からハチミツ梅に変わってしまい、もう元には戻らない。甘いのも悪くはないが、どこか物足りなさがあって、スーパーでスッパーい梅干しを探すことがある。
回転ずしは、魚介類のすしが回っていると思っていた。ところが、テレビ番組で、くら寿司ではうどんの評価が高いと知って驚いた。当然食べてみたが、そこで学習したことがある。まず、すしを食べてからうどんに移るべきで、逆だとお腹がいっぱいになってすしが食べられない。
和歌山県白浜町のとれとれ市場の回転ずしでは、意外なものが回っているのを見た。それは梅干し。すしではない。梅干し単体。そんなものが回っているはずがない、という先入観があるので、実際に食べてみた。確かに梅干し。ハチミツの。酸っぱい方だったら、手に取る客はいないだろう。
茶碗蒸しにも先入観がある。具はほぼ決まっているからだ。エビだったり、ユリネだったり、かまぼこだったり、ミツバだったり。
大阪府河内長野市の店で食べた茶碗蒸しは、予想外だった。具は1つだけで、器の底に沈んでいた。丸ままの梅干しだった。思わず、目が丸くなってしまった。
魚の白子も、食べ方には先入観がある。鍋に入れるか、ポン酢で食べる。兵庫県明石市・魚の棚の居酒屋さん「うお左衛門」でも白子ポン酢をあてにした。あとは天ぷらくらいしか食べたことがない。
テレビを見ていると、白子をバター焼きにしていた。なるほど、思った。ありきたりのようだが、考えたことはなかった。先入観のせいだろう。
白子を食べやすい大きさに切る。フライパンに多めのバター入れて熱し、白子を加えて焼く。白ワインも少し加え、溶けたバターを白子にかけながら、ジックリと焼く。最後にニンニクしょうゆをほんの少し垂らして両面をサッと焼く。
梅干しの茶碗蒸しは、もう1度食べたことがある。親類の法事の後だった。場所は和歌山市のホテルのレストラン。この時は河内長野市で経験ずみだったので、「さすが和歌山」と口にして、余裕で食べた。(梶川伸)2026.01.31
更新日時 2026/01/31