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編集長のズボラ料理(531) イカの煮汁を使ったエリンギと麩の煮物

ショウガの千切りを加えて煮てもいい

 例えば肉ジャガを作ったとする。結構煮詰めていくが、煮汁は残る。捨てるのはもったいないと、いつも思う。
 でき上った肉ジャガはもちろんおいしいが、実は煮汁の方がもっとおいしいのではないか。そこで、ご飯にかけて食べる。ああ、うまい。
 例えば鯛のあら炊きを作ったとする。僕の場合は煮詰める方で、濃い色の甘辛い煮汁が好みだ。鯛あらを皿に盛ったあと、上から煮汁をかける。全部はかけない。少し残しておいて、ご飯にかかけて食べる。ああ、うまい。
 例えば鯛の子を煮て卵でとじたとする。煮汁には、鯛の子の粒粒が入っている。これをご飯にかける。ああ、うまい。
 ヒイカという小さなイカがある。スーパーで買うと、大きいもので長さは10センチから15センチ。トレイに10尾あまり入っていて、300円程度と安いから、買いやすい。
 買いやすいが、調理しにくい。小さいものだと5センチくらい。大小入り混じっているから、下ごしらえが難儀だ。
 僕はズボラ料理を得意にしているが、手間をかけるものが2つある。1つはモヤシ。これは根を取る。「根取りモヤシ」も売っているので、1袋10円ほど高いが、それを買うことがある。ところが、毎回裏切られる。ほとんどに根がついているから、やはり自分で根を取ることになる。
 それでも根切りモヤシが目につくと、今度は大丈夫だろうと、信じて買う。ところが、同じ道をたどり、辛気臭く根を取って、あげくはネをあげることになる。
 もう1つはイカ。胴の中の軟骨と、目玉がついている部分は取り除く手間をかける。ヒイカであっても同じ。小さなものになると、これは面倒くさい。でも、安いから手を抜かない。
 イカが小さいので、水も少な目にして煮る。イカが縮むこともあって、たいていは煮汁がたくさん残る。これはヒイカを煮る時の宿命といえる。ご飯にかけてもいいが、たまには別の食べ方をしたくなる。
 酢(ふ)は水でもどし、水分を切って、食べやすい大きさにカットする。エリンギは縦に細く切る。青ネギを適当な長さに切る。この3つを、煮汁で煮る。ヒイカの煮物はすでにテーブルに乗っているから、もう1品増えたことになる。
 麩は水分を吸うから、煮汁は残らない。やっぱり、煮汁をご飯にかけたい、と思ったら、麩を絞ればいい。こうすれば、ヒイカに煮物は3点セットになる。(梶川伸)20.08.05

更新日時 2021/08/05


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