編集長のズボラ料理(810) エビと野菜のゼリー寄せ
夏は涼しげなものを食べたい。代表格は、そうめんだろう。娘も好きだから、電話がかかってくる。「そうめんでいいわ」。そう宣告して、昼食を目指してやってくる。
乾麺をゆでて冷やし、市販つゆをつけて食べる。薬味は刻んだ細ネギとおろしショウガ。それだけなら簡単でいいのだが、我が家ではちょっと違う。娘もそれを期待する。
準備するのは刻みネギだけではない。①大葉を千切り②カイワレの根を切る③カニかまぼこをほぐす④ツナの缶詰めを開ける⑤スクランブルエッグを作る⑥鶏ミンチを炒め、砂糖、醤油で味をつける⑦冷凍しているシイタケを細切りにし、くし切りのタマネギを一緒に甘辛く煮る。
大きなガラスの器に、冷たいそうめんを入れて、テーブルの真ん中に置く。①から⑦を別々の小皿に入れ、そうめんを囲むように並べる。以上の用意をして、用意スタートとなる。めんどうくさッ。
夏の麺では、冷やし中華や冷麺も捨てがたい。京都市の「中華のサカイ」は「冬でも食べられる冷麺」が売り物で、わざわざ冬に食べに行ったことがある。しかし、やっぱり夏の食べ物だろう。人気店なので、昼時分に行ったところ、店の外で並んでいた。寒いではないか。
そんな文句を、連れて行ってくれた息子に言った。息子は行った。「夏に並ぶのは暑いで」.。なーるほど。
遊び仲間で宮沢賢治の足跡を訪ね、岩手県に行ったことがある。盛岡市の焼肉屋さん「食堂園」で盛岡冷麺を食べたのも1月だった。客は並んでいなかったし、店内は暖房がきいているし、ハラミを焼いた後だったので、しごく快適。これでなければ。
夏の涼しげな食べ物で、いつも憧れるのは野菜のゼリー寄せだ、ゼリーの透明感が爽快な気持ちにさせる。そこで、毎年1回は作ってってみようと挑戦する。しかし、僕のような定年後クッカーには手に負えない。それでもこりずに、今年もまた。
ソラメメを塩ゆでにし、皮をむく。カボチャをカットして種の部分を取り除き、皮の部分は半分ほど切り取ってゆでる。それを小さく切る。ブロッコリーを少量の塩を加えてゆで、房の部分を小さく切る。赤いパブリカを生のまま小さく切る。ナスを小さく切り、塩ゆでをして、すぐに氷水で冷やす。殻を取ってある小エビを買ってきて、だしの素を加えてゆでる。
大きめのラップで容器の内側を覆い、完成したものを取り出しやすいように、ラップの端ははみ出させる。鍋に水を入れ、白だしとゼライスを加えて熱する、冷めてきたら、容器に少しだけ注ぎ、冷凍庫にしばらく入れて少し固まらせる。その上に部材をのせていき、最後に鍋のスープを注ぎ、冷蔵庫で冷やす。
今年は何とかできた。ただ、ラップを使っため、表面にしわができてしまった。それは素人にとって許容範囲。でも、困ったことがある。カットする時に、具がきれいに切れず、ゼリーからこぼれ出す。涼しさのための食べ物だから、切らずに見てるだけにすればいいのだが、せっかくだから切って食べたい。難しい問題だから、ゼリーを食べて頭を冷やして考えねば。(梶川伸)2025.07.10
更新日時 2025/07/10