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編集長のズボラ料理(534) モロヘイヤのお好み焼き

フライパンのモロヘイヤを押し付けながら焼くといい

 モロヘイヤは体にいい。知ってはいるが、料理することはなかった。
 店や宿で出れば、それは食べる。ただ、細かく切ってよく混ぜた時のネバネバ感が、それほど好きではない。
 そういえば、納豆も子どもころは食べなかった。今はよく食べる、ただし、納豆はあまりかき混ぜない。白い糸を引くまで混ぜるのが王道の食べ方だろうが、僕にはちゅうちょがある。そこまで混ぜると、箸までネバネバになり、ほかのおかずを食べる時もネバネバが伝染するからだ。
 卵かけご飯も、似たところがある。宿の朝ご飯で生卵がついているとする。その場合、ご飯の一杯目は卵をかけずに食べ、ほぼおかずを平らげる。ただし、ノリと漬け物とみそ汁は少し残しておく。
 ご飯はお代わりして、2杯目に卵をかけ、わずかなおかずとみそ汁で食べる。もし、1杯目に卵かけご飯にすると、茶碗の内側に黄身のネバネバが残り、それがご飯に伝わり、箸からはおかずにも伝わり、ネバネバは全体に拡散してしまう。これは僕の流儀ではない。
そんなネバネバ敬遠者なのに、モロヘイヤを使うことになった。それには物語がある。
 夏の散歩は午前5時ごろに家を出発し、5時半を過ぎたころ、イチジクを栽培している所を通ることがある。収穫しているおばちゃんがいて、道に止めた軽4トラックにイチジクを積み込んでいて、頼み込んで売ってもらう。
 以前は気軽に分けてくれたが、年をとったこともあり、道での販売はやめると宣言していた。だから、頼み込んで、ということになる。
 今回もおばちゃんは「袋も持って来てないし」と渋ったが、こちらはビニール袋も、買い物袋も用意ずみ。100円玉も準備すみで、500円分わけてもらった。
 しばらく田舎道を歩くと、「持って行くか?」と声がかかった。イチジクおちゃんだった。別の場所の畑で、自宅で食べるキュウリとモロヘイヤを収穫していたのだ。収穫した3分の1は、僕の買い物袋に入った。なんだ、愛想がいいじゃないか。
 おばちゃんは、モロヘイヤの調理法もわざわざ教えてくれた。なんだ、親切じゃないか。
 モロヘイヤをざく切りにして、ボールに入れる。ナガイモをすり下ろし、卵を溶いてボールに入れる。白だしを少し垂らし、つなぎに小麦粉も加え、よく練る(水は加えない)。それをお好み焼きのように、フライパンで焼く。豚肉を上に乗せ、ひっくり返しながら焼く。ソースやしょうゆをかけて食べる。
 おばちゃんの調理法と変えた部分がある。納豆をナガイモに。なぜか。ナガイモはトロトロ止まりだが、納豆とモロヘイヤではナバネバの倍のネバネバネバネバになってしまうからだ。(梶川伸)21.08.17

更新日時 2021/08/17


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