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編集長のズボラ料理(603) 缶詰め貝柱のお好み焼き

味が薄ければ、しょうゆをかけて食べる

 新聞記者は迷惑な職業だと思う。業界用語で、「夜回り」「夜討ち」というものも、その典型だ。
 相手の勤務時間中に取材するのではなく、自宅に帰った夜に押し掛ける。だから、夜回り、夜討ち言と言う。ひどい押しかけ客だ。
 ただ、相手ともさるもの、思ったこともある。若いころ、ある事件の取材で警察の刑事部屋に入った。すると、顔なじみの刑事が、無言で口を動かしている。「刑事部屋ではほかの刑事⑦手前、話すこはできないが、家に来ればネタをやる」。僕はそう解釈した。
 さっそくその夜、家を訪ねた。家に上げてくれた後、刑事が言った。「試してみたけど、やっぱり来たか」
 やられた! ただ、ネタをもらうことはできなかったが、すでに終わった事件の裏話を話してくれ、大いに参考になった。その1つは、「殺人は必然と偶然の接点で起きる」ということだった。殺意を持っている「必然」だけでは事件にならない。そこに何かの偶然が重なると、それが引き金になる。そのようなことだった。今は、事件の様相が随分変わってしまったが。
 議員の場合は、少し違う。本来、しゃべるのが好きな人が多く、家に押しかけても、話すのを楽しむケースがある。
 ある行政テーマで、実力派の議員の家に行った時だった。機嫌が良かったようで、酒を一緒に飲むことになった。つまみに出してくれたのが、ホタテ貝の干した貝柱。固いのだが、少しずつ食べると実に味があり、バクバク食べた。
 そこで、自分でも買って食べることにした。干し貝柱は中華料理に使うことは知っていたので、中華食材の店に行った。びっくりした。議員の家で食べた大きな干し貝柱は、高いの何の。バクバク食べた量を値段に換算すると、3000円は下らないく。
 貝柱は高いということを再確認した。生、あるいは生を調理したのを観光地で食べると、1つ500円するものもあるから、当然かもしれない。
 缶詰も高い印象がある。我が家では、お歳暮の時にもらったもの以外に、食べたことはなかった。つまり、値の張る贈答品だということだろう。
 ところが、貝柱そのままの形ではなく、繊維状にバラバラになったものは、それほど高くないことがわかった。これは朗報。では、どう使うか。
 遍路仲間に、大根の煮つけとお好み焼きだけ上手な女性がいる。彼女はいろいろとお好み焼きの具を試しているようで、その中に貝柱もあると言っていたのを思い出した。
 小麦粉をボールに入れ、キャベツのみじん切りをたくさん加える。ネギも細かく切って入れる。缶詰めのバラバラ貝柱を、液ごと入れ、生卵、白だし少々も加え、水で溶いた後、よく混ぜてフライパンでお好み焼きのように焼く。
 まねしではあるが、ヒントをくれた遍路仲間のものと同じかどうかはわからない。でもい、確かめてみるちうもりはない。お好み焼き名人を自認しているから、偉そうに文句をつけるに決まっているから。(梶川伸)2022.05.28

更新日時 2022/05/28


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