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編集長のズボラ料理(653) 玉子豆腐ジャージャー麺

肉にそがすくないと思ったら、もう1つ使う

 40年ほど前、神戸市で勤務したことがある。会社は元町にあり、中華料理店が並ぶ南京町まで歩いて10分あまりだったので、食べに行く機会が多かった。
 店はたくさんあり、料理のメニューも多いので、何を食べるか迷ってしまう。そう思ったのだが、先輩の奥さんのアドバイスは的確で明瞭だった。奥さんは南京町の近くで、店をやっていたから。「焼きそばを食べれば、どこでも間違いない」
 これはありがたかった。焼きそばは中華料理の中では、取り立てて挙げるよなものではなく、それに安い方だ。気取りたくもなる南京町で、「安いものを食べてるなあ」と思われるのではないかと、周囲の目を気にしてしまうものだが、南京町をよく知る奥さんのお墨付きがあるので、自信を持って食べることができた。それこそ通なのだ。知っている人には分かる。そんな優越感があった。
 南京町の焼きそばは、麺を油でよく焼いてあり、揚げそばのような食感がある。そこがちょっと違う。お好み焼き屋さんの焼きそばも好きだが、ベチャベチャとカリカリの違いがある。
 南京町で時々行った店に、餃子苑があった。ここはギョウザの店だから、当然それを頼む。最大の特徴は、みそだれで食べることだった。ギョウザとは、しょうゆ、酢、ラー油でたべるものと思い込んでいたから、結構インパクトがあっら。そのためか、ギョウザ自体の味は覚えていない。
 昨年、大阪駅の南の大坂駅前ビルの地下にある大衆屋台居酒屋「まじめや」で、昔の仲間が集まった。名物はギョウザで、これは酢とコショウで食べた。餃子苑以来の意外性だったが、言い換えれば餃子苑の驚きは大きかったということだ。
 餃子苑では必ず、ジャージャー麺をセットで食べた。ジャージャー麺の不思議は、麺に比べて肉みそが案外少ないことだ。物足りないのだが、よく伸びるので納得する。
 スパゲッティーを店で食べても、同じような経験をすることがある。運ばれてきた時に、すでに麺とソースが混ぜてあればそうは感じないのだが、麺の上に乗せてあると、「何だ、これだけか」とがっかりする。しかし、混ぜるとうよく伸びるの納得する。
 今回は少量肉みその代表格をイオンで買ってくる。トップバリュの「具入りジャージャー麺風」。包装の袋には「あえるだけの麺用ソース」と書いてある。
 冷凍うどん、玉子豆腐もスーパーで買ってくる。冷凍うどんをゆで、皿に盛る。麺用スースをかけて混ぜる。玉子豆腐は小さく切ってうどんの上に乗せ、つゆもかける。
 使ったものはみんな安い。麺用ソースもよく伸びるから、安くできるのだ。多分、1人前が200円あまりでできる。料理は値段ではない。南京町の焼きそばと同じ。(梶川伸2023.03.15

更新日時 2023/03/15


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