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編集長のズボラ料理(665) 里芋、牛肉、スナップエンドウの蒸し焼き

里芋は皮をむいてからチーンをしてもいい

 里芋はややこしいイモだと思う。厳密に考えると、僕のようなファジー人間は、頭が痛くなる。
 昔は居酒屋さん行くと、つまみにきぬかつぎをよく注文した。これを頼んでこそ、酒飲み。みんなそう思っていた。
 小さな里芋である小芋を皮のままゆで、皮の半分はむいてある。残りの皮の部分を親指と人指し指でつまんで押さえると、中身の芋がツルリと飛び出し、それを内にほうり込む。小芋のの中でも小さいものを使うので、ちょっと上品に見える。
 ただ、一緒に行った仲間の口を目指して発射すると、必ず失敗する。そうなると開いても報復してくるので、上品どころか、けんか状態になる。
 何で里芋がきぬかつぎなのだろう。そこで調べてみた。すると、平安時代の位の高い女性の衣装「衣被ぎ」(きぬかづき)に由来するらしい。里芋の一部に皮のついた様子が、それを連想させるからだという。平安時代の服など知ないから、そんな関連性を言われても困る。
 しかも、平安時代は「きぬかづき」ではないか。「きぬかづき」が転じて「きぬかつぎ」と呼ばれるようになったらしいが、ええ加減な話である。
 以前、テレビ番組で、おばあちゃんがブロッコリーのことを「ブッコロリー」と言っていた。それはおかしみがあるが、「きぬかづき」と「きぬかつぎ」は、上品さがもとになっているから、おかしみも中ぐらいなりである。
 親芋という里芋がある。種芋から最初に芽を出した部分を言うらしい。親芋から芽が出てできたのが子芋で、子芋からできたのが孫芋という。里芋はややこしすぎる。
 里芋の親子関係は何とか理解できたが、まだ未解明部分が残る。子芋と小芋の関係だ。調べるのはやめた。面倒くさすぎて、そんなことに力を注いでは、里芋を食べる時間がなくなってしまう。。
 里芋はレンジでチーンをして皮をむき、食べやすい大きさに切る。タジン鍋にコンブを敷き(焦げ付き防ぐため)、その上に里芋を並べ、さらに牛肉の切り落とし、筋を取ったスナップエンドウを上に乗せ、酒を少々ふって蒸す。できあがったら、白だしを湯で薄め、ユズコショウを混ぜたものを具材にかけて食べる。
 タジン鍋がない場合は、蒸し器を使う。もしくは大きな鍋に水を張り、皿に具材を入れて鍋に入れ、サッと酒とふって蒸す。
 親ガメの背中に子ガメを乗せて、子ガメの背中に孫ガメ乗せて、孫ガメの背中にひ孫ガメ乗せて、親ガメこけたらみなこけた。そのな歌があったが、里芋にもひ孫芋があるのだろうか。調べてみるつもりは、さらさらない。そんなことをしていたら、里芋を食べる時間がなくなってしまう。(梶川伸)23.06.03
 

更新日時 2023/06/03


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