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編集長のズボラ料理(722) 大根のミンチあんかけ    

とぎ汁がなければ、その工程を省いてもいい

 大根が好きな人は、僕を含めてそれなりにいる。しかし、特別好きな人は僕を含めてもわずかしかいない。
 ところが、特別な人が僕の周りには2人いて、その密集度は特異な状況といえる。ただし、1番好きな大根料理はそれぞれ違うのがおもしろい。
 僕は大根を細切りにして、しょうゆをかけ、カツオ節をふって食べるのが大好きだ。どのくらい好きかと言うと、食べ物の中で1番好きなのはご飯で、それに次ぐ堂々2位。つまり、生のシンプルな味が好きなのだ。だから、大根おろしにしょうゆをかけ、カツヲ節をふるのも好きだ。細切りの親類みちたいなものだから。そんな話を友人にすると、「大根じゃなくて、しょうゆとカツオ節が好きなだけやろ」と言われる。
 遍路仲間に、煮た大根が好きな女性がいる。ただ大根だけを、味をつけて煮る。食べさせてもらったこともあるが、シンプルながらなかなかいける。彼女の妹夫婦が家庭菜園をやっていて、大根ももらうので、しょっちゅう作っているらしい。良いサプライチェーンを持っているもんだ。
 彼女の得意技は、フライパンでお好み焼き作り、両手で柄を持って、お好み焼きを放り投げてひっくり返すことと、もう1つが大根の煮物。そう豪語するから、自信のほどがわかる。どうでもいい特技のような気もするが。
 娘婿が大根好きだから、僕と気が合う。生の大根だけでなく何かと一緒に煮たものも好むから、僕とはちょっと違う点もある。
 娘はミンチも好物の1つだ。大根もミンチも庶民に味方だから、安上がり夫婦だ。そこで、夫婦で遊びに来て、何を作って食べようかと迷う時には、この2つを組み合わせることになる。
 大根は皮をむき、厚めの輪切りにして鍋に煮る。味つけはだしの素と白だし。柔らかくなったら皿に盛る。鍋の煮汁を減らし、合いびきミンチを入れて煮る。千切りのショウガ、砂糖、酒、しょうゆで味をつけ、最後に溶いたカタクリ粉を加えてトロみをつけ、あんにして大根にかける。
 娘婿は飲む一方で、よく食べもする。だから、大根のミンチあんかけも大量に作った。ほかの食べ物も同じだが、野菜でこと足りるから、安上がりである。僕の場合は飲む方に大きく重心がかかる。しかし、発泡酒や焼酎も呑むので、それほど金がかからない。いつも安上がりの宴会である。(梶川伸)2024.04.01
                  

更新日時 2024/04/01


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