編集長のズボラ料理(839) メカブ・竹輪
わが家では相変わらず、メカブのブームが続いている。安いからである。
そもそも、メカブを買い始めた時に、ゴールは決めていた。まず豆腐かけた。食感がおもしろいと思って、だし巻き卵にも入れたり、レンコンをゆでて、梅肉とメカブで和えたりした。このあたりは簡単だから、チャチャッと作った。
でもゴールは志を高く掲げた。それは天ぷら。これは簡単ではない。前にも書いたが、初挑戦は悲惨な敗北だった。メカブを冷凍して衣つけて揚げたのだが、メカブの水分が油と反応して、バチバチ飛び散った。定年後クッキングの僕など、手に負えるわけではなく、そのおごりを諌めるために、バチを与えたのだった。
そこで再挑戦は謙虚になって、小麦粉を結構混ぜて揚げた。大幅にハードルを下げたので、何とかなったが、それほど感動があったわけではない。この方式は、モズクで経験ずみだったし、メカブのトロトロさは影を潜めてしまった。
そこで一から始めてみることにした。最大の理由は安いからで、いくら失敗しも、損失は小さい。
メカブの本質はトロトロだ。トロトロは何も天ぷらでなくてもいい。ではそのまま食べればいい。しかし、ズボラ料理と銘打っているので、少しは調理をしたい。このジレンマ。悩んだうえで、決断した。本当は熟慮したのは10秒くらいだが、中島みゆきの歌のごとくドラマチック仕立てで書いてみた。できた料理はしょぼいので、せめて前振りだけでも、の思いがあった。
10秒の熟考のうえ思いついたのは、竹輪のメカブ詰めだった。何の工夫もない、竹輪の穴にメカブを流し込むだけ。
それでも、ちょっとしたドラマはあった。メカブが穴から流れ出てしまった。当たり前や。でも、こんなささいな失敗のうえに、成功はある。
そこで、キュウリを切ってふたをした。これでどうだ。竹輪に細長いキュウリを入れる「竹キュウ」と「竹メカブ」のマリアージュ。
キュウリのふたは両側にし、食べる直前に皿に盛りつける。メカブが流れ出るまでに食べ切る。料理は時間との勝負である。
何とかうまくいった。すると、野望ができた。竹輪を半分に切る前に衣をつければ、揚げることとができるのではないか。これぞ、ズボラプロジェクトX!夢はまだおわらない♪(梶川伸)2025.12.03
更新日時 2025/12/03