編集長のズボラ料理(907) シイタケの軸のバターしょうゆ炒め
シイタケの軸は捨てない。知ってはいる。
鍋の時など、先端の石づき部分だけを取って使うこともある。ただ、軸が長いと不細工な感じがして、短くしてしまうことも多い。「いっそ、切り取ってしまおう、その方が使いやすい」と考えて、全切除にしてしまうこともある。
軸を何と粗末にしていることか。もしマツタケなら、そんなことは絶体しないが。
シイタケの裏にしょうゆを垂らし、オーブンで焼くことがある。ミンチやチーズを乗せて焼いたりもする。この場合は、軸を切らざるをえない。では、軸はどうするか。捨てている。何と粗末にしていることか。もしもマツタケの軸があれば、決して捨てはしないが。
テレビの料理番組を見ていた。女性のあるじが客を招き、料理を振る舞う。たまたまシイタケを使っていた。客はあるじに命じられて、軸を手で細く裂いていく。その間にあるじは、別の料理を作っていく。2人でとりとめのない話をしながら。やがて軸はバター炒めになっていった。この雰囲気、いいなあと思いながら見ていた。
ちょっとだけ似た光景があった。友人の家で飲む会があり、酒が進んだころ、女主人が言った。「ちょっとだけ、豆ご飯を作りましょう」。飲んでいるそばで、座ったままゆったりとグリーンピースのさやから、豆を取り出し始めた。僕らとたわいのない話をしながら。
穏やかでゆっくりした時間のようで、この雰囲気いいなあ、と感じた。やがて、豆ご飯ができあがった。塩味だけの飾りっ気のない味で、それも一連の流れに似合っていた。
自宅近くスーパーで、徳島県神山町のシイタケを安売りしていた。大きいのだが、特に軸が太くて長い。笠の比率が低いので普通なら素通りだが、この軸を見てテレビの番組を思い出した。
軸を切り落とし、手で細く裂く。黙々と。フライパンにバターを入れて熱し、ゆっくりと炒める。最後にしょうゆを垂らし、さらにサッと炒める。これまでの軸への罪滅ぼし料理である。
とりとめにない話抜きだったので、テレビの味かどうかはわからない。もう1つ、わからないことがある。番組ではシイタケの笠をどう調理したのか、全く覚えていない。そこで、思い出すまで笠は冷凍保存することにした。(梶川伸)2026.10.15
更新日時 2026/10/15