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身近な生き物たち⑪ 特定外来生物・ヌートリア

池田市神田の猪名川で撮影したヌートリア(池田・人と自然の会の下山孝さん撮影)

 ヌートリアという動物をご存知だろうか。体長約60センチ、体重は大きいもので9キロほどになるネズミの仲間だ。水辺に住み、後ろ足には水かきが付いており、泳ぎが得意だ。

 野生種は南アメリカにいたが、毛皮を取るため世界各国で飼育されるようになった。日本でも戦前に軍の防寒服を作るため数万匹が飼育されていたが、戦後に需要が激減。飼育されていた個体が野に放たれて野生化した。

 豊中市、池田市周辺では、猪名川、余野川、千里川、天竺(じく)川などで見ることができる。昔、伊丹市に毛皮工場があったため、その子孫ではないかと考えられている。とぼけた表情で、のっそりと動く姿は、何かと忙しい現代社会において癒しも与えてくれるが、一方で生態系に悪影響を及ぼしたり、農作物に被害を与えたりすることもあり、環境省指定の特定外来生物に指定されている。

 豊中市環境政策室によると、今のところ市内ではヌートリアによる生態系への影響はないという。農作物の被害についても、最近数年で2件の問い合わせがあった際に、捕獲許可とともに、おりの貸し出しをしただけで、「現状では行政が積極的に捕獲をするということはない」という。逆に「あの変な生き物は何ですか?」という、どちらかと言えば好意的な問い合わせが多い。

 池田・人と自然の会の今城香代子さんは「水鳥の観察の際によく見かける。野生動物なので、かまれたり、引っかかれたりするのは危険。近付くのはやめた方がいい」と話す。

 観察する場合は、夜行性なので明け方や夕方がよい。伊丹市の昆陽(こや)池公園では、水鳥のえさを食べに来るため、日中でも頻繁に見ることができる。(礒野健一)

ヌートリア

更新日時 2012/02/28


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