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身近な生き物たち⑰ 秋に鳴く虫たち

月明かりだけを頼りに行われた伏尾での観察会。中央で説明するのが下山さん

 セミの鳴き声がおさまってくると、代わって聞こえてくるのが、夜に鳴く秋の虫たちの声だ。

 9月1日に池田市伏尾で、池田・人と自然の会主催の鳴く虫観察会開かれ、同行した。午後7時半、余野川の吉田橋バス停を降りると、さっそく「リーリーリー」という甲高い音が、いくつも重なって聞こえた。これはアオマツムシの鳴き声で、1970年代から急激に増えたという。池田・人と自然の会の下山孝さんは「アオマツムシは樹上で生活するため、田んぼや畑が減っても、他の虫のように個体が減らなかった。今も都市部の公園や庭でよく見られる」と話す。

 山に入ると、アオマツムシ以外の虫の音も聞こえてきた。「コロコロリー」と鳴くのはエンマコオロギ。体長3センチほどで、コオロギの中では大きい種類だ。「リリリリリ」と長く鳴くのはツヅレサセコオロギ。エンマよりも小さく、体長は2センチほどだ。観察会ではほかに、ハラオカメコオロギ、モリオカメコオロギも見つかった。

 鳴く虫を捕まえるには、明かりを消して音がする方向を見極める。ゆっくりと近づき、そこだと思うところがわかったら懐中電灯などで照らし、手で包むように捕まえる。「ルルルルル」ときれいな声で鳴くカンタンは、クズなど大きな葉の裏に止まって音を共鳴させながら鳴く。虫ごとの生態を調べていくと、捕まえるポイントがわかってくる。

 観察会ではクロマドボタルの幼虫も見付つかった。陸生のホタルで、成虫になってもゲンジボタルのような明るい光は放たないが、幼虫は尾の端が微かに光り、虫の音とのコラボレーションは、風流さを感じさせた。(礒野健一)

更新日時 2012/09/12


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