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寺の花ものがたり(148) 伝光寺(奈良市)散り椿=3月下旬~4月上旬

2017年4月3日撮影

 奈良市・伝光寺の散り椿は、白毫寺(びゃくごうじ)の五色椿、東大寺開山堂の「のりこぼし」とともに、「奈良三名椿」に数えられる。普通の椿(つばき)は咲き終えると、花の形のまま散る。散り椿は桜のように花びらを散らす。
 小さな本堂の横に散り椿が並んで2本。1本は背が高く4.5メートルほどある。訪れた時、一面にピンクの花をつけていた。強い色ではないので、落ち着いている。花びらは約20枚で、少し重みがあるが、色の柔らかさのおかげで、それほどボテッとした感じはしない。
 寺は筒井順慶の菩提を弔う。この椿は武士椿(もののふつばき)とも言われる。まだ咲き誇っている時に、花びらを1枚ずつ散らす。その散り際の良さを、若くして亡くなっ順慶に重ね合わせている。

◇伝香寺(でんこうじ)◇
 奈良市小川町24。近鉄奈良駅の南西、JR奈良駅の東で、いずれも徒歩15分。0742-22-1120。本尊は釈迦如来。奈良時代の天平宝亀年間に鑑真和上の弟子、思託律師によって開かれたといわれている。天正13(1585)年、筒井順慶のために母が再興した。奇せ棟造りの本堂は再興当時のもので重文。鎌倉期の作で裸形像に実際の着物を着用させた裸形着装像である地蔵菩薩像(重文)が有名。拝観有料。
(梶川伸)=状況が変わっている可能性もありますので、ご了承ください。2018.03.03

更新日時 2018/03/03


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