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編集長のズボラ料理(302) ナメタケそうめん

白だしはかけすぎると塩辛くなる

 5月なると早くも、お中元がくる。商品が届くわけではない。中元を注文するための商品紹介の冊子である。
 冊子はたくさんの食べ物が載っている。食べ放題とはいかないが、見放題ではある。しかも僕の場合、すぐ目の前のイオンと、近鉄電車で2駅の近鉄百貨店奈良店の2個所から来るから、見放題放題となる。
 見放題放題の場所は風呂の湯船の中と決めている。腰がよくないので、風呂に入った際、ぬるめの湯で時間をかけて温める。そうすると、手持ちぶさたになる。その時に、この冊子が役立つ。
 品定めはゆっくりとする。いや、せざるを得ない。親類に送るものを選ぶのだが、送り先は5~6人。しかし、1000くらいある商品の中から決めるのだから迷う。この時間のかかり方が、腰にはいい。
 時間をかければ、冊子が湯に落ちてボショビショに濡れることもある。そんなことは大したことではない。イオンの冊子の場合は、いくらでも取り替えがきく。うちの玄関からイオンの食品売り場まで、歩いて2分。そのそばに冊子はいくらでも置いてある。
 スープのさめない距離どころか、湯冷めもしない距離だから、冊子を手にしてすぐに帰り、また風呂に入ればいいだけのことだ。
 冊子を熟読すると、気がつくことがある。そうめんと、その他の麺(めん)類の違いだ。そうめんは三輪素麺(そうめん)やら揖保(いぼ)の色、小豆島素麺といったように品ぞろいが多彩だ。
 ところがうどんとなると、稲庭うどんが隅っこに載っているくらい。そばやラーメンになると、湯船の中で1時間探しまくっても、見つけることは不可能だ。つまるところ、夏はそうめんなのだ。湯船で検討に検討を重ねた結果、そういう結論に至った。だから、お中元の商品冊子では、大きな顔をしてもかまわない。
 そこで、そうめんを使う。お中元前だが、我が家にはそうめんがドンとある。ご近所さんが引っ越しをし、家にあった大量のそうめんをプレゼントしてくれたのだ。ついに、そ出番がやってきたのだ。
 そうめんをゆでる。ナメタケの佃煮を和える。白だしをかけて混ぜ、オオバの千切りをたくさん振りかける。大きな顔をしていい時期だが、そうめんの料理はどれも単純だから、偉そうではない。湯船の中で腰を温めながら、料理法を考える必要もない。(梶川伸)2018.05.22

更新日時 2018/05/22


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