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編集長のズボラ料理(320) マグロのゴマソテー

中は奄美が残った方がいい(写真は、焼く際にショウガの千切りを使わなかったもの)

 5人組の遊び仲間がいる。1人が転居した。そこで新居で飲み、食べることになっ た。
 グルメ夫婦の奥さんが、いつも料理を担当する。料理も名人で、その分、味にもうるさい。
 以前、キュウリの漬け物でヨーグルトソースを作り、揚げた竹輪にかける料理(編集長のズボラ料理311回参照)を僕が作り、みんなに食べてもらったことがある。すると、「揚げた竹輪だけのほうがいい」と、ソースを切り捨てる。味も素っ気もない感想。
そうなるとほかの仲間が追随する。「キュウリはあかんわ。ピクルスならいいけど」
 実はこのソース、スイスに行った時に友人そのまた友人の家で出てきたソースをパクった。その家では確かにピクルスを使っていた。しかし、全パクリはあまりにも恥ずかしいい。そこで、わざわざキュウリの漬け物に変えたのではないか。そういった料理の奥深い部分を、全く考慮しないのである。
 料理名人が作ったのは4つもあった。まずローストビーフ。これは自宅で作ったものを持参した。最近はやりの低温調理で、50度だったかか60度だったか、そんな温度の湯で長時間かけて火を通すという。大根の煮物も持って来た。
 その場でで作ったのは、エビとユリネのかき揚げ、手羽中のから揚げ、それに冷凍保存していた栗を使った炊き込みご飯。
 から揚げは名古屋の人気から揚げ、「世界の山ちゃん」のものを参考にしたという。そして僕に聞く。「揚げた後でかけるのは、黒コショウだった? 白コショウだった?」
 食べたことはあるが、覚えてなんかいない。それに、黒でも白でも、どっちでもええやないか。どうせ、違いなど分かりはせん。そう思ったが、それを口に出すと、反撃がが怖い。そこでとっさに答えた。「白コショウだと思うよ」。こちらの腹の底を見透かされないように、偉そうに言い放った。
 実は当てずっぽうである。まあ、5割は当たるので、外れたとしても5割にすぎない。あまり白黒はっきりさせない方がいいのだ。
 僕もマグロのゴマソテーで勝負した。転居したばかりで調味料があまりない家だと思い、ゴマも用意して持っていった。それが白ゴマ。コショウの白黒を聞かれた時に、「白」と答えた理由の1つは、ここにあった。そんな隠し味が潜んでいたことを、料理名人も気づかなかった。
 しょうゆ、みりんを混ぜ、ショウガの千切りも加え、マグロの短冊を漬け込む。取り出したマグロはペーパータオルで水分をのぞき、表面に白ゴマを全面にまぶす。フライパンにオリーブオイルをひき、ニンニクのみじん切り少々、ショウガの千切りを入て熱し、マグロを焼く。中は赤身を残すと、切った時に見栄えがいい。
 できがったマグロを、料理名人に勧めた。すると、「魚には弱いの」と一言。味も素っ気もない。(梶川伸)2018.12.04

更新日時 2018/12/04


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