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編集長のズボラ料理(349) 牛肉とマイタケ炒めのホワイトソース

ホワイトソースは、少しとトロ味がある柔らかさがいい

 「柔らかい肉」への憧れは強い。テレビの食べ物番組で、おいしい肉に対するレポーターの褒め言葉は、「柔らかーい」と「口の中でとける~」が、全体の7割を占める。
 この場合は、肉を歯でかみ切る時に、1度で成功する必要がある。2度、3度とかんでいては、コメントのうそがばれてしまう。
 かんで切れない場合、レポーターは最後の手段に出る。肉を歯にはさんだまま、フォークで引っ張って切る。ただその瞬間、カメラは別の場面を映し出すことになる。
 2割は「融点が低い」と、科学的に味を説明する。この場合は、ちょっと理知な顔を作る必要がある。
 残りの1割は「肉の味がする」である。僕も肉料理の感想を聞かれると、よく使う。気の利いたコメントがない時には、これに限る。肉だから肉の味がするのは当たり前。つまり、非の打ち所がないのだ。
 マイタケを使うと、肉が軟らかくなる。そんなことを聞いたことがある。今回はマイタケを使うのでこう書いたが、ほかにもいろいろ試したことを思い出した。
 牛乳につけことがあった。酒もあった。果物も。しかし、定着しない。「たまには」と、簡単シシカバブを作る時にはヨーグルトを使うか、酢豚の際に「たまには」とパイナップルを加えるくらいのものだ。
 柔軟剤をつかって洗濯したものと、そうでないものとの違いは分かる。肉の柔らかさの変化については、それがわかるほどの味覚など持っていない。
 冷蔵庫の中には、塩麹(こうじ)の使いかけが残っている。これも肉を柔らかくするといって、ブームになったこともある。しかし、使ったのは1回きり。賞味期限を見ると、半年も過ぎていたので捨てた。この行動は確か、2回目のことだと思う。
 牛肉の切り落とし、マイタケとシメジを、オリーブオイルで炒める。味付けはクレイジーペッパーと、香りづけのしょうゆ。別の鍋にバターの塊を入れて熱し、薄くスライスしたタマネギをゆっくり炒める。柔らかくなったら小麦粉を入れてよくかき混ぜ、粘っこい団子状になったら牛乳を少しずつ加えて混ぜ、ホワイトソースを作る。皿に牛肉・マイタケを盛り、上からタマネギホワイトソースをかける。
 薄切りの肉だから、もしテレビに写ったとしても、かみ切れないことはない。それに、最初から切り落としになっているし。(梶川伸)2019.05.14

更新日時 2019/05/14


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