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編集長のズボラ料理(429) エビとブロッコリーの豆腐ボール

青ノリを加えてもいい

 色は大事だ。と書いたものの、僕の場合は一貫性がない。食べ物の場合は柔らかい色を好むのだが、着るもの強い色が多い。特にTシャツがそうで、友人から「100メートル先からでもわかる」とあきれられることある。
 僕は締め付けるものが嫌いだ。腕時計のそうだし、ネクタイも。しかも、Yシャツをパリッとさせるノリにも弱い。固くなったえりが首にすれて、赤くなる。という理由をつけて、勤めている時もなるべく綿のTシャツを着ていた。
 締め付けられるのが嫌なのは、本当は衣類ではなくて、行動の方だったかもしれない。上司の言うことを素直でないから、生意気な記者だった。しかし、やわな首の方は本当だだったので、やがて上司もあきらめたのか、首になることは免れた。
 Tシャツでは、ユニクロにお世話なった。模様が入ったものよりも、一色の方が好きで、そんなTシャツはその昔、ユニクロでしか売っていなかった。
 色ば当、は赤、青、黄色など目立つ色が多かった。ユニクロだから、モノクロが多いと思ったら、大間違い。モノクロは無印良品に任せていたのだ。
 ユニクロは安かったので、いろいろな色のTシャツを買った。そうすると、派手な色に慣れてくる。やがて激しい色を求めることになる。こうなると、中毒症状である。行きつくところは蛍光色だった。ユニクロが行きついたのはそこだったし、僕が行きついたのも同じだった。
 ところが10年ほど前から、ユニクロがおかしい。蛍光色でピークを迎えた後、次第に色がおとなしくなり、それどころか、単色がめっきり減ってしまった。その代わり模様つきが偉そうにしてきて、単色は片隅に追いやられてしまった。ユニクロは成熟したのだ。
 では、食べ物は? 紅ショウガの真っ赤な天ぷらはいい。パプリカのはっきりした色もきれいではある。しかし、おおむね柔らかめの色を選ぶ。日本の色とはそういうものだと刷り込まれている。シャクナゲもアジサイも日本種の方が穏やかな色だし、日本料理店ででてくるものも優しい色をしている。
 豆腐は水切りをしてつぶす。エビは小さく切る。ブロッコリーをサッとゆで、小さく切る。卵の白身を加えてこれらを混ぜ、少し白だしを加え、だんご状に成型する。表面にかたくり粉をまぶし、油で揚げる。
 エビのピンク、ブロッコリーの緑は、豆腐の白に包まれて柔らかい。紅ショウガの天ぷらのどぎつさの10分の1くらいの成熟度といえる。(梶川伸)20.08.12

更新日時 2020/08/12


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