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編集長のズボラ料理(486) イカと菜の花とシイタケの中華炒め

白と緑の色が残るように

 菜の花というと、遍路のシーズンだなあと感じる。実は感じるだけかもしれないないが。
 遍路で歩くには春がいい。特に早春が心地よい。だから遍路は春の季語になっている。
 遍路の白い衣は、「びゃくえ」という。それと黄色い菜の花のとの対比がいい。遍路旅の先達としてみなさんを案内して、菜の花畑のそばを歩けば、写真をとることにしている。遍路の春を感じ、みんな青春のように大喜びする。年寄りばかりなのに。
 もう1つ喜ぶ花がある。愛媛県宇和島市の42番・仏木寺への道は、秋になるとコスモスロードになる。コスモスを植えた田もあり、それを背景にして1人ひとりアップで写真を撮る。これも喜び、口々に言う言葉がある。「遺影にしよう」。これが春の花との違いといえる。
 早春と晩冬の境は難しい。3月末に愛媛県四国中央市の65番・三角寺に登ったことある。寒い年で、菜の花に雪が積もっていた。美しいので、みんなで記念写真を撮った。
 これはあまり喜んでいなかった。寒いので美しさも「中くらいなりおらが春」の気分だったからだ。寺にたどり着けば、「これでこそ登りかひあり山桜」の一茶の句碑と、樹齢300年を超える桜の木があるのだが、寒さにはなかなか勝てない。。
 菜の花は春のものだが、実は寒い時期にも咲いている。年末に岡山県総社市の備中国分寺を訪れたことがある。周辺は菜の花が満開だった。滋賀県守山市の琵琶湖畔にある第2なぎさ公園は、1月の菜の花で人気がある。琵琶湖対岸の山の雪と組み合わせた写真が撮れるからだ。京都府宇治市植物公園は、早咲き伏見ハナナ(菜の花)の帯を作り、花のない時期にビューポイントになっている。 
 身近な場所にも、冬の菜の花を見ることができる。それはスーパーで、1月中旬から売り場に並んでいる。春を先取りするには、スーパーに行くことだ。
 冷凍でもいいので、分厚いイカを使って拍子切りにする。菜の花は食べやすい大きさ、シイタケは傘の部分を細長く切る。フライパンで油を熱し、シイタケ、菜の花の茎、イカ、菜の花のつぼみ・花の順に炒める。味付けはコショウとチューブに入った中華料理用香味ペースト。
 中華炒めとは言いながら、チューブ入りペーストを使うだけだから、ズボラにはもってこい。なければ、砂糖、酒、塩、白だしで好きに味つけ、油はゴマ油にすれば、何とかなる、と思う。(梶川伸)2021.02.28

更新日時 2021/02/28


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