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池田・豊中発ガンバルジャン⑩

ユーモア実践道場の師範を務める矢野宗宏さん(右から2人目)と門弟の皆さん

ユーモア実践道場――

 コミュニケーションをはかるうえで大事なのは、そこに「笑い」があるかどうか。そうした考えのもと、落語の街・池田で「笑い」を実践的なスキルとして身に付けるため2010年から始まったのが、ユーモア実践道場だ。

 道場の師範を務める矢野宗宏さんは、大学の落語研究会出身。卒業後に勤めた信用金庫では、落語で培った「笑い」スキルで顧客の人気を得て支店長に昇進した。現在は独立し、ユーモアコンサルタントとして講演活動を行うほか、学生時代からの高座名・爪田家らいむで社会人落語家としても活躍している。

 矢野さんは「趣味の落語教室とは違い、日常会話やビジネストークの中に『笑い』をいかに取り入れるかという、実践的な技術を養うもの。相手をゲラゲラ笑わすだけでなく、どう和ませるかといったことも伝えたい」と、道場の意義を語る。

 3月20日、門弟の1人で間もなく古希を迎える巽益明さんの修了式と発表会が池田市の引札屋で開かれた。本来、道場に修了というものはないが、今後は「お笑いの漫語落(まから)」という名前で独立して福祉施設などに慰問へ行くという巽さんのため特別に開いた。「普通のおじいちゃんが、必死に稽古をする姿にこちらも感銘を受けた」

 師範代を務める山本公平・広島経済大学准教授は「ここは高尚な芸を精進する場ではなく、もっと身近な笑いを追求する場。医療で例えるなら、最先端技術を備えた大学病院ではなく、町医者がこの道場の役割」と話す。

 池田市内で営む歯科医院で2カ月に1度「手水寄席」を開く小石剛さんも門弟の1人だ。「もともとデンタルカフェを開いていたが、真面目な話だけで、うまく伝わってないという思いがあった。そこに笑いを取り入れることで興味を持ってもらい、今は寄席まで開くようになった」と笑う。

 ユーモア実践道場の活動は毎月第4日曜日、池田市の引札屋で行う。参加費は1回ごと1000円、稽古成果の発表にはさらに1000円。問い合わせは090-4307―2567。(礒野健一)
=地域密着新聞「マチゴト豊中・池田」第19号(2011年4月14日)

ユーモア実践道場 引札屋

更新日時 2011/04/14


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