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豊中・池田発ガンバルジャン⑦

銅製の釜で炊いたあめを鉄板に流す

井関食品――

 寒さ厳しく空気が乾燥するこの季節に重宝するのどあめを、昔ながらの製法で作り続けるのが、豊中市豊南町南に本社・工場を構える井関食品だ。
 1945年の創業時は、菓子の卸売専門だった。大阪市・松屋町から仕入れた菓子を、自転車で豊中市内のパン屋などに売っていた。高度経済成長とともに需要も増え順調に業績を伸ばしたが、チェーン店の増加などの影響を受け、1970年に菓子製造業に業種転換した。
 今でこそあめを専門に製造しているが、当時は瓦せんべい、ベビーカステラ、棒ジュースなど多様な菓子を作っていた。あめに特化したのは平成に入ってから。神社の参道ですり下ろしたレンコンを入れたのどあめを販売したところ非常に受けが良く、続いて大根入り、ショウガ入りを開発し、これもヒットした。冬だけでは生産が追いつかず、次第にほかの菓子の製造を縮小していった。
 井関食品のあめ作りで、一番特徴的なのはあめの炊き方だ。銅製の鍋で砂糖と水飴を直火炊きすると、だんだん黄色くなって香ばしいカラメルの香りが立ち上ってくる。これがあめのうまみを引き出し、独特の風味を感じさせるのだ。
 炊いたあめにハーブや果汁などを加えるのも手作業だ。約160度のあめが徐々に固まっていく途中、素早く力強い動きで職人が素材を練り込んでいく。
 取材時に作っていたのは塩あめ。5年ほど前に建設会社から依頼を受けて開発した。「あめ1粒のうち5%が塩ですが、レモンの酸味もあるのでおいしく食べられます。去年は歴史的な猛暑で製造がまったく追いつきませんでした」と井関優社長は語る。のどあめと並ぶ主力商品は、この時期から作って在庫を確保しておかないと間に合わないという。
 「最近は『井関さんはいいあめを作るね』と言ってもらえるようになり、一定のブランドにもなってきた」と井関社長は喜び、「昔ながらの手作り良さを残しつつ、近代的な設備で安全管理を徹底したい」と今後を語る。 (礒野健一)
=地域密着新聞「マチゴト豊中・池田」第14号(2011年2月3日)

井関食品

更新日時 2011/02/03


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