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豊中・池田発ガンバルジャン③

「うみなかみるぞう君」を手にする日夏昌彦社長(手前中央)と社員のみなさん

ファーストシーン――

 魚が思うように釣れない時、誰もが抱く疑問がある。「ホンマに魚おるんかな?」。しかしそれを確かめるには水の中に飛び込んでみるしかない。それならばと3年前、ファーストシーン(豊中市曽根西町4)の日夏昌彦代表取締役が自作したのが「うみなかみるぞう君」のプロトタイプだった。

 釣り竿の先端に小型カメラを取り付け、ロッドの液晶画面にその映像が映し出される。初めて見たのは水深20メートルほどの日本海。ヒラメが舞い、タコが踊る光景に感動し、「商品化したら面白いのでは」と考えた。

 思ったことはすぐに実行するタイプ。しかし、会社はブライダル用の小物を取り扱うのが本業だ。おおさか地域創造ファンドに事業を申請、採択されたが、まったく違う業界での仕事に部品の発注さえままならず、ネット販売を開始したのは2008年9月のことだった。

 その後は釣り具関係の展示会に出展。もともと「あったらいいな」と誰もが思っていた道具に人気が集まり、マスコミにも取り上げられるようになって順調な売れ行きを見せた。

また、需要は意外なところにも生まれた。ダイバーを使わない橋脚の検査や、水難救助に使おうと、行政からも問い合わせが来るという。

 今年発売されたモデルでは、映像の録画もできるようになった。ファーストシーンは、そうして撮影された映像を募集し、コンテストを行っている。

 「最近も親子で釣りに来る人は多いが、子どもは15分で飽きてしまい携帯ゲーム機を始めてしまう。一緒にいるのに、まるで会話がないのは寂しい。『うみなかみるぞう君』を使えば、そこにいろんな会話が生まれるはず」

 今は前回紹介したブランケネーゼの東忠男さんと協力し、たこ焼きのギフト商品を開発中だ。これもまったく違う分野への挑戦となるが、日夏さんは少年のように目を輝かせる。(礒野健一)
=地域密着新聞「マチゴト豊中・池田」第9号(2010年11月18日)

ファーストシーン おおさか地域創造ファンド 豊中商工会議所

更新日時 2010/11/18


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