このエントリーをはてなブックマークに追加

編集長のズボラ料理(547) ピーマンソーセージ

これはピーマンが小さくて、ソーセージを全部包めなかった

 神戸勤務だったころ、元町のガード下の台湾料理の店「丸玉食堂」に時々行った。ただし、男同士限定のような店だった。
 まずビールを飲むが、あては腸詰めだった。次に豚足。締めは卵あんかけ麺(めん)と決まっていた。
 女性は誘いにくい店だった。決して小切れではない。むしろその反対の雰囲気があった。店の名前もおしゃれでない。レストランではなく食堂だし、丸玉もパチンコ屋さんのような響きがある。それに、腸詰めから豚足への流れ。女性は好みそうもない。
 遍路仲間の女性を1度、誘ったことがある。話は弾まず、2度と行きたいという言葉は出なかった。
 ずいぶんと昔だが、ギョウザの王将が大阪府の郊外にファミリーレストラン風の店を出し、話題になったことがあった。店に行ったという若者が、僕に印象を語ったことを覚えている。「最初のデートでは無理でも、2回目なら使える」。その点、丸玉食堂は10回目のデートで、やっとかもしれない。
 腸詰めはソーセージのことだが、腸とい言葉が生々しい。ウインナソーセージは羊の腸、フランクフルトは豚の腸、ボローニャソーセージは牛の腸を使うのが本来の形だが、ソーセージという言葉で生臭さが消える。僕などはその3つが大きさの違いくらいにしか思っていなかったので、言葉のイメージは大きい。
 イメージの強いソーセージと言えば、タコソーセージだろう。日本特有の赤いソーセージ。半分に切り。切った側から切り込みを入れてタコを作り、弁当に入れる。赤いソーセージの大半はタコになる。赤いからといって、ゆでダコの腸に入っているわけではない。
 ソーセージにもいろいろあるようだが、僕が買う時の選択は、シャウエッセンにすすか、アルトバイエルンにするかぐらいのものだ。だから、あれこれ考える必要はない。ただ、なぜ2袋をビニールテープで巻いて1セットにして売っているのかは気になる。
 ピーマンは大き目のものを選ぶ。ヘタを取って縦半分に切り、種の部分を取り除いて、軽くレンジでチーンをする、ソーセージをピーマンで巻き、爪楊枝(つまようじ)で止める。その際、あれば粉しょういうをふる。なければ軽くしょうゆを垂らす。それをオーブン焼く。
 お遍路さんの休憩所づくりの活動メンバーが、1カ月に1回の会議の後、「おつかれさん」と言って飲みに行く店がある。1杯目のビールがサービスだからだ。その店はソーセージ炒めは赤い。でも、タコの形はしていない。赤は大人になっても、根強い人気がある。食べるにつれ、飲むにつれ、顔も赤くなる。(梶川伸)2021.10.02

更新日時 2021/10/02


関連リンク