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編集長のズボラ料理(582) カキ玉うどん

カキは煮すぎないように注意する

 冬の北海道・釧路湿原に、タンチョウをを見に行ったことがある。10年前のことだ。鶴居村が目的地だったが、ほかにもいくつか訪ねてみた。。
 釧路市のホテルに1泊した。タクシーで向かう途中、運転手さんにその夜に飲みに行く店の情報を聞いた。行き当たりばったりの旅では、こんなことが幸いする。
 教えられたのは「炉ばた」という店。行ってみると、薄暗い店内で、おばあちゃんが黙々と炉で魚介類を焼いていた。実はこの店、「炉ばた焼き」を広めた店だった。すでに炉ばた焼きブームは下火になっていたが、大阪に帰ってからはしばらく、「炉ばた焼き発祥の店に行った」と言いまくった。
 タンチョウのサンクチュアリで写真を撮っている時には、一緒になった人から、SL「冬の湿原号」が重連で走るといういう話を聞いた。これも良い情報。釧路駅から標茶(しべちゃ)行きの往復を切符を買った。行きはSLが重連で後ろ向きに走った。客車の1番前から写真を撮ると、SLの顔が全面に写る写真になった。
 列車の中にはダルマストーブ。列車の売店で十勝ワインを買い、持っていたイカスミスルメをあてに飲んだ。窓の外は湿原が広がり、キタキツネが真っ白な雪の中を走る。エゾシカもいる。雌阿寒岳が見えた。酔いも回ってきて、満足、満足。
 標茶に着くと、商工会の車が昼食の店まで送ってくれた。店はいくつもあったが、どこに行けばいいのか分からない。そこで、乗り合わせた人が目指した店について行った。「もり」という店だった。汁ソバのカキソバを食べた。ソバは弟子屈産。カキは厚岸(あっけし)産。
 その数年前、弟がオイスターバーに連れていってくれ、おごりだったので生ガキをガバガバ食べた。気に入ったのが厚岸産だったから、カキソバはうれしかった。大阪に帰ってからしばらく、「厚岸産のカキの入ったソバを食べたで」と言いふらした。
 その当時、カキ入りのソバやうどんは珍しかったので、自慢タラタラ。ところが最近は丸亀製麺(めん)でも「牡蠣(かき)づくし玉子あんかけうどん」なるものを売っているから、自慢は通用しなくなった。それどころか今回は、丸亀をまねすることにした。ただし、食べたことはないから、ズボラ流である。
 冷凍うどんをゆでて取り出す。鍋にだしを取り、砂糖、みりん、しょうゆで味をつける。ぶつ切りのネギ、なるとの輪切りを煮る。火が通ったらうどんを加え、最後にカキを入れ、溶き卵を流し入れる。しょうゆの味は、濃い目の方がカキと合うような気がする。
 カキは曲者だ。大きいカキを買っても、煮ていると縮む。では、小さいカキでいいかというと、さらに縮むから困ったもんだ。いっそ、うどんと生ガミのセットにした方がいいのだろうか(梶川伸)2022.02.22

更新日時 2022/02/22


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