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編集長のズボラ料理(705 〉 カキのマヨネーズ炒め

最後のマヨネーズはかき混ぜない

 カキはよく「海のミルク」と言われる。だけど、僕にはそんな印象はない。
 何でだろう、と考えてみた。結論は、生のカキを食べる機会が少ないからだ、となった。
 娘と一緒に弟を訪ねたことがあった。娘がカキが好きだと言うと、高級そうなオイスターバーに連れて行ってくれた。弟は夫婦連れだったから計4人。
 1セット5種類の生のカキが出てくる。せっかくのおごりだからバクバク食べて、すぐに1皿が殻だけになってしまった。高いのはわかっていたが、調子に乗って娘が次の5種類を頼んだので、僕も同調した。いや、逆だったか。
弟夫婦は、1セットでやめた。お金が気にかかったからかもしれない。それを見て、まずったかなと、ちょっと考えたが、もう止まらない。ごちそうさん、である。
 その時に、1番気に入ったのは、北海道・厚岸のカキだった。印象の残ったのは、サンフランシスコのカキ。小さいのに3年物だと教えらられたからだ。ごちそうさん、である。しかし、ミルクのようには思わなかった。
 その後はオイスターバーに行ったことがない。弟から声がかからないし、自分の金で行く勇気もないし。
 僕ら団塊の世代にとって、ミルクの味は不二家のミルキーにつきる。あるいは森永ミルクキャラメル。さらには、北海殿のお土産のミルクキャラメルやミルクキャンディー。これらは、牛乳よりもおいしいと思っていた。海のミルクとはどんどんかけ離れた話になってしまったが。
 火を入れたカキはよく食べる。おやじ、おふくろは広島出身なので、カキ好きの家だった。おふくろがよく作ったのは土手焼きだった。ただ、食べる時に技術がいる。よく煮た方がカキはおいしくなるなるのだが、煮すぎるとカキが小さくなってしまう。食べるタイミングが難しいが、味はみそだからミルクとはほど遠い。
 カキフライも好きだ。そのまま食べてもいいのだが、ソースかタルタルソースをかけてしまうと、その味になってしまうから、ミルク感はない。炊き込みご飯も同じ。
 海のミルクはあきらめて、今回はマヨネーズ炒め。カキはキッチンペーパーで水分を除く。軽く小麦粉をふってから、オイスターソースをつける。フライパンにマヨネーズを入れて熱し、溶けてきたらカキを加えて両面を焼くように時々押しつけるようにして炒める。皿に盛って、マヨネーズをかける。
 マヨネーズはかき混ぜない。オイスターソースの色が濃いので、混ぜると色が濁ってしまう。マヨネーズはミルクの色に似てはいるが、もともと違う物なので、どうしてもミルク感がほしければ、後でミルキーをなめる。(梶川伸)2023.12.25

更新日時 2023/12/25


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