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編集長のズボラ料理(89) トマトのバジルソース

大きなトマトを使ってもいい

 料理については一家言持っている姉妹がいる。姉妹、妹のご主人、姉の親友、僕の5人は、時々1台の車で遊びに出かける。行き先には、たいてい食べ物がからむ。
 兵庫県多可町の道の駅「マイスター工房八千代」に、人気の巻きずしを買いに行ったことがある。車を2時間飛ばし、30分ほど並んで、太巻きを買った。480円だった。道の駅の近くで場所を見つけ、それぞれ1本ずつ、立ち食いをした。15分で食べ終わり、「この値段で、この味。来たかいがあった」と満足し合う。
 食べ歩きを提案するのは、たいてい妹の方である。妹は料理がうまいし、好きらしい。だから知識量も豊富で、グルメ情報にもたくさん仕込んでいる。ズボラ料理の道に日々精進している僕にとっては、ありがたい味方である。妹は気に入った食べ物を見つけると、他人にも食べさせたくなる性質で、おすそ分けにあずかることがよくある。いいことだらけのはずだが……。
 そもそも、長時間かけて巻きずしを買いに行くのが、いいことなのか。僕はみんなとの合流場所まで2時間はかかる。わずか15分の味のために、4時間半をかけるのが合理的なのか。消費税が5%の時期だったが、太巻き480円は確かに安い。しかし、ガソリン代や高速道路緑金は別にいる。その時は日帰り温泉にも入ったので、さらに入浴料が加算される。それで、安いのだろうか。お湯で体を流すのはいいが、水に流せる話ではないのではないか。
 姉もグルメだから、よく料理の話をする。というよりも、ちょっとうるさい。ズボラ料理のことを知っているので、「男の料理教室に行って、料理の基礎を習いなさい」と、しばしば言う。相手の方が年上なので反論はしないが、「そんなの習ったら、ズボラじゃなくなるやないか」と内心では反発し、表面上は聞き流している。
 そんな姉妹だから、そろい踏みとなると、一家言×2=二家言で、食べ物話は留まるところを知らない。今回の料理も、妹の知恵を、姉から聞いたのがヒントになった。それはトマトの皮のむき方だ。
 トマトを冷凍する。僕はミディのトマトを使う。それを解凍して、手で皮をむき、深めの皿に入れる。水にコンソメスープの素、バジルペーストを入れて、鍋で熱する。カタクリ粉でとろみをつけ、あら熱を取り、トマトの上からかける。冷蔵庫に入れて、冷やしてから食べる。
 教えてもらったトマトの皮むきは、とても便利だ。これなら、完熟トマトをたくさん買っても、冷凍しておけば良い。皮は面白いように簡単にむける。売れた桃の皮をむくような感触で、何とも楽しくて、むくのが癖になる。こんな知恵も教えてもらえるので、妹提案の食べ物ツアーには、皆勤しようと思っている。ちょっと、うるさいけど。(梶川伸)

マイスター工房八千代

更新日時 2014/06/16


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