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編集長のズボラ料理(243) イカのワサビ漬け和え

和えてからしばらく置くとよい

 買おうか、買うまいか。スーパーに行くたびに、悩んでしまうものはたくさんある。その1つが、カズノコのワサビ漬けだ。
 「おいしいのか」と聞かれれば、全く自信がない。ただ、あのコリコリ・ツブツブ感はだけは、ほかでは味わえないと思う。
 2人の子どもも好きだったので、正月前には2箱買うこともあった。カズノコは結構高いので、「正月だから」という気合で買った。ただし、安売りの日を狙って。
 弟家族がカナダに住んでいた。お歳暮代わりに、子持ちコンブを送ってきた。コンブにカズノコが分厚くついていた。これ幸いと、何度も礼を言った。作戦は見事成功して、弟は日本に返ってくるまで、毎年子持ちコンブを送ってきた。これで正月はカズノコだらけになった。
 ワサビ漬けも好きだ。おやじが東京に出張すると、土産によくワサビ漬けを土産に持って帰った。子どものころだから、「おいしかったのか」と聞かれれば、全く自信がない。ただ、少しはしにつけてご飯に乗せ、「鼻に来る~」と言いながら食べているうち、食卓1つの光景になってしまった。
 その2つの条件があるので、当然ながらカズノコのワサビ漬けは好物になった。カズノコとワサビ漬けが和えてパックに詰めてある。この和え方が、なかなか曲者だ。
 一目見ると、すぐ飛びつきたくなる。大きなカズノコがワサビ漬けの上に乗っている。それならば、ワサビ漬けの中の方にも、カズノコがあるはずだ。そう思わせる。しかし、たいていの場合はない。少なくとも大きな塊はない。あったとしても、小さなかけらだけ。細く切った大根が、代わりをしている。
 1パック300~400円で、値段から言えば当然だろうが、見るたびに、心が動く。そして、3回に1回は買う。家でパックを開け、上のカズノコの下を恐る恐るのぞいてみる。いつも期待ははずれ、うなだれる。買わなきゃよかった。
 こうなると、大根のワサビ漬け部分が大量に残る。パックの5分の4を占めているのだから、何とももったいない。解決方法は2つしかない。カズノコを買ってきて、追加して漬けるか、他の海産物を和えるか。
 細く切ったイカの刺し身を買ってくる。ワサビ漬けで和える。食べる時に少ししょうゆをたらすと良い。長い前振りの割りにズボラすぎる料理だったが、それもカズノコのワサビ漬けへのうらみのせいである。(梶川伸)2017.02.04

更新日時 2017/02/04


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