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編集長のズボラ料理(299) シラスとセリの焼きそば

あっさりした味なので、炒める時は油を少なめにした方がいい

 薬味のように、少しだけほしいものがある。でも、スーパーでは多い量で売っている。そんな時、どうすればいいのか。
 例えばネギ。うどんにちょっと入れる。みそ汁でもいい。たかがネギだが、入れた方が圧倒的に味が引き立つ。豆腐に乗せてもいい。日本の最強のハーブの1つだと思っているから、ちょっとだけ使えばいい。
 そうすると、たくさん残る。でも、ネギは使い道がたくさんあるから、何とか使い切ることができる。
 ほとんどは根つきで売っているので、根を切って植えるという手もある。じたくにの小さな庭にも植え、僕は庭の一角をネギ畑とよんでいる。ネギは1回使用量の10倍をかったとしても、融通がきく。
 では、パセリどうか。これも薬味のようなものだから、使うのは少量。それなのに、スーパーでは花束のようにして売っている。これを使い切れる人がいるとは、とうてい思えない。うちの場合、半分くらいは冷蔵庫の野菜室で、うなだれている。それを見つけて、「あ~あ」と越えに出してしまうが、すぐに「花束で売るのが悪い」「花束は結婚式場で売れ」と、責任をスーパーに転嫁する。
 さらに気に食わないことがある。でき上がった刺し身のパックを買うと、パセリがついている。僕は「刺し身のつまは大根のけん」という信念で生きている。ニンジンの細切りを、大根に紛れ込ませているケースが多くなったが、その根性も気にいらない。
 そういう刺し身には、必ずパセリもついている。何でやねん、と思う。本来は洋風料理の添え物ではないか。それを和食の代表の刺し身と組み合わせるとは。しかも、小さな1房ならまだしも、2房も3房だから、大量ときている。パセリの9割は捨てられているにに違いない。
 そこで9割を捨てずに、ラップに包んで冷蔵する。こうすればパセリの花束を買わなくてもいいし。
 ミツバはどうか。茶碗蒸しの上に乗せたくなる。高野豆腐にも。でも、ちょっとでいい。そうすると残る、仕方がないからおひたしにする。するとわずかの量にしかならない。「やらなきゃよかった」「くたびれもうけだ」と後悔することになる。そんな罪深いものがミツバなのだ。
 セリはどうか。スーパーの地元農産物のコーナーで、安いと思って買ってしまった。おじやに少し使っただけ。そこで……。
 焼きそば用の麺(めん)を袋から出し、酒をふってほぐしておく。セリは葉をはずし、茎は先の方を適当に切る。コップ1杯ほどの水で濃いだしをとる。熱くした中に焼きそばを入れて少しゆで、だしの味をつけてて、ざるにあげて、水分を切る。
 フライパンに少し油をひき、麺を炒め、最後にしょうゆたらして香ばしい味にする。皿に盛り、釜揚げシラスと大量のセリを乗せる。
 残ったセリの処理と思ってはいけない。春の味としゃれことが大事である。
(梶川伸)2018.04.24

更新日時 2018/04/24


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