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編集長のズボラ料理(217) エビとブロッコリーのスープ煮

とろみをつけるために水の量は少なく

 料理は美しさが大事だ。「料理はまず、目で食べる」と言う人もいる。僕はズボラ料理程度で未熟だから、まだ目で食べたことはないが。
 美しさでは、色が大事だ。では、黒はどうだろう。料理にはあまりふさわしくなさそうなのだが、この色も結構活躍する。僕の場合、しょうゆが好きでよく使う。それでも「黒くてまずそう」と思ったことはない。それどころか、生じょうゆが好みだから、真っ黒けである。
 北陸に行く機会があると、イカの黒づくりがほしくなる。イカの塩辛みたなものだが、味付けはイカスミが中心なので、真っ黒け。ただ、黒光りしているから、美しいといえなくもない。食べるにしても、僕の場合は酒のさかなだから、ちょっとつまむくらいで、たいして問題があるわけではない。
 イカスミのパスタとなると大変だ。見た目は真っ黒けで、バクバク食べるので、見られた目も、口のあたりが真っ黒けになる。毎日新聞が大阪・北新地の入り口にあったころ、イタリアンの店が近かったが、イカスミパスタはごくまれにしか食べなかった。歯が真っ黒けではたまらないからだ。
 その代わり、しばしば行ったのは、歌留多(かるた)という泡盛の店だった。飲んだ後で、1番最後に頼むのが、イカスミのそうめんチャンプルーだった。これも口の周りが黒くなったから、イカスミパスタと同じではないか、と思うかもしれないが、酔っているからどうでもよかった。
 色で食べたくなるものはたくさんある。北海道土産にしたのは、「道産鮭(さけ)と白菜の重ね漬け」という漬け物だった。鮭のピンクと緑のハクサイが印象的だった。それ以来、デパートの食品売り場で漬け物のミルフィーユを見つけると、つい手が出るようになった。
 そこで、漬け物といきたいところだが、その色だけをまねることにした。エビは背わたを取る。ブロッコリーは茎の部分を切って、頭の部分は食べやすい大きさに切る。茎はきんぴらなど別に活用する。フライパンで水を熱し、コンソメスープか鶏ガラスープの素でスープを作る。まずエビを、少し置いてブロッコリーを入れ、菜箸(さいばし)で混ぜながら煮る。水はひたひた程度。味付けはクレイジーソルト、もしくは塩とコショウ。湯が少なくなったら、とろみをつける。できればクズで。なければカタクリ粉で。色の美しさが、最大のポイント。味はどうでもいい、ということはないが。(梶川伸)2016.09.17

更新日時 2016/09/17


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